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第7回日本料理分科会より | ||
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京都に京野菜があるように、加賀地方にも伝統的な野菜がたくさんあります。今日は、その加賀野菜を中心に料理を何品かご紹介します。 まず、一品目はシャコと鳥貝に独活、オクラ、茗荷などを組み合わせ、黄身酢をかけた前菜です。旬の蝦蛄は大変おいしいもので、私共の店でも、人気があります。甲殻類アレルギーの方でさえ、この時期のものは食べたいとおっしゃるほどです。 次は加賀蓮根の蓮餅を椀種にした吸物です。加賀蓮根というのは秋が旬で、他の地方の蓮根よりものねっとりとしています。蓮蒸しや蓮餅は通常卵白をたくさん使わないとつながらないものですが、加賀蓮根の場合はつなぎがなくても十分にまとまります。 吸物の味つけは、一般的に、金沢の方が京・大阪よりも濃いめです。吸地は琥珀色になるように醤油で色づけをしてから足りない分を塩で補います。秋・冬は重いものが好まれるので醤油色のやや強いものを、逆に夏場は汗をかきますから、塩辛いのものが好まれると思ってやや塩分の強い味つけをしています。 三品目は鮑ステーキです。これは店によっていろいろやり方があるでしょうが、蒸したりスチコンにかけたりして温めて焼いた方がおいしく仕上がると思います。今回はスチコンを使いました。鮑は、雄は縮むので造りに向き、雌は縮まないので煮込みに向いています。通常、雄の方が1000〜2000円ほど高いです。 たき合わせは鴨の治部煮です。鴨には「青首」というブランドがありますが、雄がおいしいのは交尾をするまでの間です。それよりも妊娠した雌は雄に比べものにならないくらいおいしいです。鴨肉は火が通りきったものより、レアの方がよいでしょう。盛りつけて血がにじんでくるくらいが理想です。フランス産を使用するときは、表面に毛が残っていることがあるのでバーナー処理が必要でしょう。また、日本産は脂身が多いようです。 食事は五郎島さつま芋を使ったご飯です。年配の方には苦しかった時代を思い出すということからさつま芋ご飯というのはあまり喜ばれませんが、この芋の旬の時期だけはおいしいと評判がよいです。砂丘で栽培され、早掘りの品種です。色も形もよく甘いと評価が高いさつま芋です。 最後は金時草ゼリーを添えた葛切りです。「金時草(きんじそう)」は別名水前寺菜といいます。葉の裏が赤紫色をしていてさつま芋に似ているところから「金時」の名があります。夏場の野菜で、独特の風味とゆでるとぬるぬるとした触感があります。金沢ではお浸しや酢の物に使われます。今日はレモンの絞り汁を加えたシロップに一晩つけ、ゼラチンを加えてゼリーにします。レモンの絞り汁を使うと、金時草のはっきりした色が保てます。 今後とも、父親である先代と時には意見の相違もありますが、「つる幸」の伝統を守りつつ、自分らしさを出せるようがんばっていきたいと思っております。 |
![]() 吸物 清汁仕立て |
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