第4回日本料理分科会より
 
 
 
     
           

昔から料理を作る上で一番大切なのは「だし汁と塩」であると考え、こだわっています。削り節は血合い抜きのまぐろを使います。
かつお節に比べて使いすぎてもくさみ、しぶみ等が出にくいからです。塩は天然の物を使います。一般 の物と比べるとおいしさの味の幅が広いからです。

 

 


 (煮物椀)蛤しんじょ

 

 

 

 

 

ここでは講習会の中から、だし汁の引き方と煮物椀を紹介します。

<一番だし>
水・・・・・・・・・・・・・・・・・8升
利尻昆布・・・・・・・・・・・・・・380g
削り節(まぐろ)・・・・・・・・・・350g
*分量の水にさっと洗った昆布を入れて火にかける。沸騰直前に保ち、おいしい味が出たところで昆布を引き上げる。削り節を入れ、アクをすくい取ってから火を止め、そのまま静かにおく( 15〜20分)。味を見ておいしい味が出ていたらネル地でこす(絞らないこと)。

<二番だし>
水・・・・・・・・・・・・・・・・・6升
昆布・削り節・・・・・・・・・・・・一番だしの残り
* 一番だしの水の7割程度の水と、一番だしを引いた昆布と削り節を鍋に入れて煮る。1〜2割程度煮詰まったら火を止めてこす。

<八方だし>割合
(一番だしを使った場合)
一番だし・・・・・・・・・・・・・・10
酒・・・・・・・・・・・・・・・・・1
みりん・・・・・・・・・・・・・・・0.7〜0.8
*1割程度の酒と7分程度のみりんを加え、アルコール分が飛ぶまで煮たもの。
(二番だしを使った場合)
*一番だしの濃さになるくらいまで 削り節を追加し、同様に煮たもの。

<煮物椀>
蛤しんじょ、 草餅、京人参、 うぐいす菜、 柚子
■材料
蛤・・・・・・・・・・・・・・・・・12個
白身魚のすり身・・・・・・・・・・・120g
蛤の汁・・・・・・・・・・・・・・・25cc
卵白・・・・・・・・・・・・・・・・少量
二番だし・・・・・・・・・・・・・・25cc
卵黄・・・・・・・・・・・・・・・・少量
葛粉(だし溶き)・・・・・・・・・・少量
草餅・・・・・・・・・・・・・・・・4個
金時人参(短冊)・・・・・・・・・・8枚
うぐいす菜・・・・・・・・・・・・・8本
柚子(松葉)・・・・・・・・・・・・4本

<作り方>
*蛤は身を取り出し、下処理をする(汁は残しておく)。すり鉢ですり身をよくすり、蛤の汁でのばす。卵白、二番だし、卵黄、葛粉を加えながらさらにすりのばす。蛤の身を混ぜて、適当な大きさに取り、蒸す。
*草餅は適当な大きさに切り、焼き目をつけて湯で戻す。
*金時人参は短冊に切り、ゆでて二番だしにつける。
*うぐいす菜は下処理をしてゆで、二番だしにつける。
*椀盛りをして熱い吸地をはる。

 

 
 
 
 

いろいろな器に料理を盛り込むことは楽しいものですが、自分の料理を器にどうマッチさせるかというところが技術の見せどころです。今回は雛祭りをイメージした華やかさのある料理で全体を構成しました。

 

 
 

ここでは揚げたての温かな長芋と冷たい胡麻クリームを組み合わせた先付けを紹介します。

<春若芋胡麻クリーム掛け>
■材料
長芋・・・・・・・・・・・・・・・・1/6本
蕨・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8本
アーモンド(スライス)・・・・・・・適量

<胡麻クリーム>
当たり胡麻・・・・・・・・・・・・・50g
煮切り酒・・・・・・・・・・・・・・適量
砂糖・・・・・・・・・・・・・・・・大匙2 1/2
濃口醤油・・・・・・・・・・・・・・大匙1 1/2

<長芋の煮汁>
だし汁・・・・・・・・・・・・・・・400cc
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・少量

<作り方>
*長芋は皮をむき、白水でゆで、ガーゼに包んで煮汁で30分煮る。
*蕨はアク抜きをして八方だしにつける。
*アーモンドはせん切りにし、フライパンで乾煎りする。
*胡麻クリームの当たり胡麻に砂糖、濃口醤油を加え、よくすり混ぜ、煮切り酒でかたさの調整をする。
*長芋は1cmの輪切りにし、半分に斜めそぎ切りにする。素揚げにして薄めの色をつける。
*器に盛りつけ、アーモンドを天盛りにする。


春若芋胡麻クリーム掛け