第4回製菓分科会より  
 
 
     
           

今回の講義では、木村氏の研修地アルザス地方の製品を中心に3品のデモンストレーションが行われました。
10年間研修された知識と技術には自信がみなぎっており、材料の性質をよく知った上での、材料の取り扱い方、生地、クリーム等の作り方はすばらしいものでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

2000年を迎え、これからは若い世代が洋菓子業界を支えてくれることになりますが、私が思うに、最近の若手製菓技術者は積極性に欠け、上司から与えられた仕事だけを済ませればよいという考えの人が多くなっています。しかし、それだけでは仕事とは言えません。お菓子を作ることは毎日のことなので、誰でも素晴らしいものが出来て当然で、出来ない方がおかしいのです。大切なのは、上司が何を考えてお菓子作りに携わっているか、お菓子をどう考えているか、お菓子作りに何を望んでいるかをくみ取って仕事を進めることです。

(フランスに研修に行きたいという質問に対して)
 長期間(10年程度)の研修であれば焦らずどっしり構えていればよく、最初は言葉よりも心を開いて接するほうが好ましいでしょう。心を開けば自然に仲間としてとけ込め、認めてもらえるようになります。
 反対に短期研修の場合は、何も修得できずに期間が過ぎることのないよう、研修期間中に何を吸収すべきか目標を決めて行くことです。さらにもっと短い数カ月間の研修であれば、仕事場で研修するよりも、色々な所を食べ歩き、日本との素材や味の違い、さらには日仏の歴史、文化の違いを自分の肌で感じてくるのがよいと思います。

(理想的な職場は?という質問に対して)
  我々にとって一番頭の痛い話です。働くだけで精一杯では新しい菓子の発想も、従業員同士のコミュニケーションも生まれてきません。効率的に仕事を進め、時間的にも精神的にもゆとりがもてる場であること。そして、きちんと丁寧に、楽しい気持ちで仕事ができるのがよい職場であり、そういった姿勢が結果 的にお客様に喜ばれるお菓子づくりに反映されます。
 また、技術や知識を多く吸収するためには、ひとつの職場よりも数店舗で働くことを勧めます。ただし、技術を常時磨いて向上しようとする気持ちが大切であり、職場を変えてもただ年数だけを過ごすのでは意味がありません。職場を変えることによって、なれ合いが無くなり、良し悪しは別 に全ての点で比較ができ、自分にプレッシャーをかける事が出来ます。そうなることによってお菓子に対するマンネリ化がなくなり、お菓子に興味が生まれてくるのです。