「中国菜館 桂花」
’02年5月開業
奈良県生駒市
真弓南1丁目10-7
TEL.0743(79)0013

 
  現在までの経緯  
 
 前職がフリーライターで、取材の為に全国を飛び回っていました。全国のおいしいものを食べているうちに自分でも作りたくなってきたんです。でも、潜在的には料理をやりたかったのかもしれませんね。というのは高校の卒業アルバムを見ますと「将来は料理人になりたい」と書いているんですよね。どうしてこんなことを書いたのか、よく覚えていないんですけどね(笑)。

 「料理の道に進む」って決めたものの自分がどんな料理をやりたいのか、和洋中いずれの料理をやるのかなども決まっていなかったので、悩んだ末一から学んでその過程で自分がどのような料理をやっていくのかを見極めていこうと思って、辻調への入学を決めました。学校で習うあらゆるジャンルの料理に引きずられましたけれど、6月頃に専攻科で「中国料理」を選択した段階では、中国料理と決めていました。

 「開業サポートシステム」は役立ちましたね。まず、集中講義では自分で店をやっていく上での心構えや大切な視点のようなものを学べると同時に、開業にあたってきちんと押さえておくべきポイントなどがおぼろげにですが見えてきますので、開業までのスケジュール・プランなどをなんとか立てることができるようになりますね。こういったことが分からなかったので助かりました。実習の面では中国料理を選んだ方が数少なく、ほとんどマン・ツー・マンのような状態で指導していただいたので、実に身につきました。

 あとプラスになったのは学校に通いながらやっていたアルバイトでしょうね。その店は本格的な中国料理の店でしたので、ここで現場の仕事を経験できたことは大きいです。少しですけれど自信がつきました。実はもうしばらくこの店で仕事を続けようと思っていたのですが、たまたま物件が見つかったんですよ。開業を決めたのは2月で、準備を始め、5月にオープンしました。

 
  開業に際して、そして開業後  

 もし、有名な料理長の方が自分の店をオープンされるのであればそんなに場所は選ばなくても、知名度でお客さんは来るでしょう。でも、経験も浅く、有名でもない者が店をオープンしようと思えば店の場所が最重要ポイントになると思いましたし、地元密着型をお店のコンセプトにしていましたので物件探しにはこだわりました。

 開業前に考えていたことと、実際開業してみてのギャップはいろいろありました。まず、建築関係。建材のこととか、図面のこととかさまざまな問題にぶつかりました。他にもこまごましたことですね。例えば伝票はどうしようとか、レジはどうすれば、とかね。メニューにしてもそうですよ。当初は「あっ、これもできる、あれもできる」って自分ができると思える料理をすべて盛り込んだんです。それを知人の飲食店経営者に見せたらえらく叱られました。「店のメニューっていうのは自分ができる料理が何かということではない。勘違いもはなはだしい。自分が作れる料理とお客さんに出せる料理とは全然違うんだ」って。それでも本格的中国料理にこだわっています。開店して2、3週間ぐらいは実にドタバタしましたよ。今は少しは落ち着きましたが、週末は忙しくててんてこまいです。料理人としての仕事が全体の3分の2で、3分の1は経営者としての仕事です。へとへとになりますけれど充実感はありますね。

 
  後輩へのアドバイスと将来の夢  
   
 偉そうなことは言えませんが、自分がやりたい店はどのような店なのかということをしっかりと描けることが大切だと思います。例えば小さな店にしかできないことを考える。この店で言うなら、厨房から客席が見えるのがとても大切な要素です。料理を出しながらお客さんの満足そうな表情を見ることができるのは最高ですよ。ビジネスが先行し過ぎると逆にアイデアも浮かばないような気がするんです。

 今の夢はこの店をきちんと成功させたいということでしょうか。それと今までの夢が思いのほかスムーズに実現できたので、少し用心しないと、とも思っています。