卒業生の活躍情報掲載日:2012年2月2日

第49回 技能五輪全国大会

原田 久也
辻調理師専門学校 2008年卒業

全国日本料理技能士会連合会主催の日本料理部門第二位を獲得

第49回 技能五輪全国大会が、平成23年12月16日(金)~19日(月)の日程で行われた。 「技能五輪全国大会」とは、厚生労働省、文部科学省、経済産業省、都道府県職業能力開発協会などが後援にあたり、23才以下の年齢制限で、精密機械の組み立てや、自動車板金、建築大工、美容などの40種の競技課題があり、それらの専門分野の技術を競う大会である。そのひとつ、全国日本料理技能士会連合会主催の日本料理部門で、大阪府日本調理技能士会から大阪代表として出場した、辻調理師専門学校の卒業生、原田久也氏(徳島県出身)が見事2位に輝いた。平成19年に辻調理師専門学校を卒業し、同年「日本料理店 むろ多」に就職する。おいまわしから始まり、揚げ場、焼き場と積み重ね、現在は煮方の勉強を始めている。 原田氏が今回の行いを成し遂げた経緯には、本人のただならぬ努力があった。8月から練習がスタートしたが、普段は朝8:00から、夜20:00までとハードなスケジュールで仕事をこなす。その傍らで、仕事が終わってから調理場で、ひとり黙々と練習を積み重ねた。通常の業務をこなしてから練習をするので、最初は3つある課題を毎日一つ行い、体に叩き込んでいった。大会1ヶ月前からは、ラストスパートに入り、規定時間に間に合うよう、三つの課題をこなし、すべての課題が完璧なものに仕上がるようにした。 エントリーは、全国の予選を勝ち抜いた総勢54名で、静岡県浜松市にある調理師専門学校にて本選が行われた。課題は「小鯛活なます姿盛り」「牛蒡と鴨の小袖焼き・菊花蕪甘酢漬け」「芋寿司手綱巻き・蓮根甘酢漬け」の三課題だ。決められた制限時間内に、「下ごしらえ作業」「調理作業」「盛り付け作業」を正確に行うことで、勝敗が決定される。 第一課題「小鯛活なます姿盛り」(写真/文章下部)では、鯛のおろし方や、造りの引き方、盛り付けの完成度など、経験が少ない分、かなり苦戦した。制限時間は50分、その中で、鯛を造り身にするだけではなく、7種類のあしらいを完成させることは、調理経験が5年足らずの調理師には、かなりハードな内容である。第一課題の作業中、「緊張のあまり頭の中が真っ白になった」と原田氏は語る。その結果、大きな失敗をしてしまっていたが、第一課題を終了したことで気持ちが落ち着き、これから先は、普段の実力を発揮することとなる。 第二課題「牛蒡と鴨の小袖焼き・菊花蕪甘酢漬け」(写真/文章下部)は、同じく制限時間は50分。ここでは、鴨肉の切り出しにおける、厚みをそろえる工程に苦労した。また、「菊花蕪甘酢漬け」での切り込みの幅を、規定の2mmに正確にそろえることが、細かい採点基準の中、重要なポイントであった。「見た目の美しさを追求する上でも、より丁寧な作業を心がけた」と原田氏は語る。 第三課題「芋寿司手綱巻き・蓮根甘酢漬け」(写真/文章下部)は、制限時間が70分と課題一と課題二に比べて20分長くなる。さよりと才巻き海老、もろ胡瓜の長さと幅を正確にそろえなければ、手綱巻きの完成度が低くなるので、時間がかかる課題である。また、山芋の火の通し方ひとつで、芋寿司の味や形に影響が出てしまい、規定通り直径3cm、長さ20cmの円柱形に形成する作業は、料理経験が必要となる。いつも通りの実力が出せたことで、完璧な手綱模様の「芋寿司手綱巻き」が完成したと原田氏は語る。 すべての課題を制限時間にクリアし、後は採点を待つだけだが、上位2名の作品は甲乙つけがたかった。ただ、第一課題であまりの緊張からか、より独活を盛り忘れてしまった。このミスにより、僅差で2位になったと、後に知らされた。独活を盛り忘れていなければ、優勝だったと聞かされ、悔しい思いをしたが、あの時の自分自身の精神状態を考えると、この結果が今の自分の実力だと納得し、更なる努力と料理に対しての探究心を忘れないようにしたいと改めて心に誓った。 ◇原田氏から在学生に一言◇ 「学生の時から、料理に対して真剣に取り組むことが大切です。辻調で学んだことを現場で発揮出来るよう、先輩として応援しています」 文:日本料理 真田 章仁
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    原田 久也 氏
    「日本料理店 むろ多」勤務
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    第一課題
    小鯛活なます姿盛り
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    第二課題
    牛蒡と鴨の小袖焼き・菊花蕪甘酢漬け
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    第三課題
    芋寿司手綱巻き・蓮根甘酢漬け

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