難しい問題だからこそ、
できることを探し続けたい。
- 2023.04.05
Compitum会長 / ポンテベッキオ オーナーシェフ
山根 大助
SDGsやサステナブルという言葉を聞かない日はないほど、世の中に広く浸透してきました。こうした課題に人々の意識が向いて、積極的に取り組んでいくこと自体は素晴らしいと思います。
料理人も食材をなるべく使い切って、廃棄を減らす努力をするなど、当たり前に取り組んでいくべきことはたくさんあります。
ただ一方で、環境に配慮していれば、それですべてが丸く収まるわけではないとも思います。同時に生産性や経済の視点も大切にして、より良い取り組みを模索していくべきだと思っています。
たとえば、魚。海の資源が枯渇していることは誰もが知っています。解決手段として、サステナブル・シーフードを使うのもいいでしょう。ただそれ以外にも、養殖魚という選択肢もあるかもしれません。
養殖魚と聞くとイメージが悪いかもしれませんが、同じく養殖されているのに等しい牛は養殖牛とは言いません。要するに、品質の問題なのです。魚の美味しさを決めるのは餌と環境なので、そこを改良して品質を高めていけば、使いたいと思うレストランが出てきて、資源の保全につながるかもしれません。
農業も思い切って機械化や効率化する部分を増やして産業化すれば、生産者の負担が減って、食材の供給率や生産者の所得がアップするかもしれません。
とはいえ、そんなことに料理人は関与できない。そう言う人もいるでしょう。私もどうすれば、それらが実現できるのかは分かりません。でも、何かできることはないかと常に考え、アンテナを張りめぐらし、声に出していれば、何か新しい出会いがあるかもしれません。
次の世代に健全な食と環境を残せるように、それぞれの立場で身近にできることを探し続けていきましょう。
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