勝機は必ずどこかにある。何が何でも生き残りましょう。
- 2020.10.30
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辻調理師専門学校 1981年卒業
山根 大助
コロナ禍の動きを教えてください
休業していたら店は死んでしまう。僕はそう考えていたので、国からの要請に従って休業期間に入っても、店に出て新人研修をしたり、隅々まで掃除をしたり、新たなメニュー開発に取り組んだりしていました。
店を閉めていたのは、4月8日から23日までの約2週間。まだ助成金や借入がどうなるか不透明な時期でしたが、赤字になってもいいから店を再開しようと決意しました。再開直後は、200坪ほどある店内にゲストが2組だけなんて日もザラでしたね。感染防止策を徹底していましたが、感染しようがないくらいの客入りです。そこから少しずつ回復していき、6月時点で8割ほどまで売上が戻ってきました。
どんなことを考え、
どんなことに取り組まれましたか
実は、経営コンサルタントからは「会社に体力があるうちに倒産させて、別会社へ経営を移した方がいい。一刻も早く決断しないとダメだ」と言われていたんです。相当ヘコんだし、悩みましたね。寝られない日々が続きました。でも、腹を括ってやり切ると決意してからは、色々なことを見直していくチャンスと捉えて実行していきました。
まず、外販用の商品をつくったりするラボを閉鎖。オンラインショップに力を入れる店も増えたと思いますが、逆にうちはオンラインショップも閉めて余分な部分をスリム化していきました。その代わり、顧客サービスをさらに手厚くしていくことにしたんです。
同時に、スタッフが気持ち良く働ける環境についても、かなり考えました。もうすぐ35年目になりますが、10年、20年働いてくれているスタッフがゴロゴロいるんです。だから、居心地は元から良い方だと思っていたんですが、一人ひとりがやりたいことに打ち込めて、人生のプラスになる経験ができる場所であることを改めて大切にしようと思いました。これまでいちいち言葉にしなかったようなことも、細かく教えるようにもなりましたね。私が感じてきたこと、経験してきたことを全員に伝えようと思ったんです。いわば、山根イズムの継承です。
未来への思いをお聞かせください
どう考えても無傷ではいられないので、経営者として覚悟を持って、逃げずに真正面から取り組んでいきたいと思っています。ブライダル部門の回復が見えないのが厳しいですが、いざとなれば私財を切り崩してでもやり抜く覚悟です。
今後、ますます世の中の人はレストランにお金を使わなくなっていくでしょう。だからこそ、また体験したくなる料理や接客を提供したいですし、お客様に来てもらえるように積極的に情報発信していこうと思っています。そのために、SNSの活用方法も検討していくつもりです。
コンピトゥム会員の皆さまへ
メッセージをお願いします
バブル崩壊、リーマンショック、震災。これまで、さまざまな危機的状況を乗り越えて来たんですから、今回も何が何でも生き残りましょう。勝機は必ずどこかにあるはずです。変えるべきところは変え、良いものはしっかり残して新しく生まれ変わるんです。コロナは、そのためのチャンスを与えてくれたと考えましょう。そうやって生き残った店は、本当に強い店になれるはずです。
そして、忘れてはいけないのがスタッフのこと。経営者は、ついつい経営維持を一番に考えてしまいがちですが、店を支えてくれているのはスタッフなんです。今まで以上にスタッフとコミュニケーションを取り、一枚岩になって困難を乗り越えていきましょう。
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