みんなを笑顔に、という思いで。
- 2020.08.20
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辻製菓専門学校 2014年卒業
講武 千晶
製造から販売まで、なるべく一人でできる小さな店を。ずっとそう思っていた講武さんは、25歳という若さで現在の店をオープンさせた。
「私の中でも予定より早かったですし、親にも心配されたんですけど、祖母が自宅の1階をお店に改装してもいいよと言ってくれたので、思い切ってオープンすることにしました。オープン当初は想像以上にお客様がいらっしゃって、もうてんやわんやでした」と講武さんは照れ笑いする。
「両親や昔の同僚にも時々ヘルプで入ってもらいながら、何とか軌道に乗せることができ、ようやく余裕が出てきたオープン2年目。なかなか手をつけられなかったアレコレに取り組もうと意気込んでいた矢先のコロナ禍でした」
島根は首都圏から離れていることもあり、対岸の火事のような感覚があったそうだ。しかし、4月に島根初の感染者が出ると空気は一変。ほとんど誰も外を出歩かなくなり、県外ナンバーの車を見るとみんな警戒するようになった。そんな状況なので、お客様が安心して買いに来れるよう入場制限をかけたり、レジ前にアクリル板を設置したりと、さまざまな対策を取ったが、やはり感染を恐れて来店を控える常連さんもいたそうだ。
「飲食店は休業しているのに、ケーキ屋だけ開けてていいんだろうか」という葛藤もあったそうだが、暗い話題が続き、みんなの気持ちがギスギスしているのを感じていたので、ケーキやお菓子で少しでも癒しの時間を提供できたら。そんな思いで営業を続けていたそうだ。ちょうどそんな時に、「家にいる時間が長くなったけど、ここのケーキに癒されています」といった声も届くようになり、自信を持って営業できるようになった。また、自粛期間中は完全予約制にすることで、新たな可能性も見えてきたという。
「目当てのケーキが売り切れることもなくなりますし、予約時間に合わせて焼き立てのシュークリームをお渡しできるので、お客様にはとても喜んでいただけました。きっかけはコロナというマイナス要素ですが、結果としてお客様のプラスになるサービスができて良かったです。これからも、お客様を笑顔にできる新たなサービスや取り組みに挑戦していきたいです」
cii standのシーは、声に出すと自然と口角があがる言葉。CAKEのCであり、千晶さんのCでもある。店名に込めた「ケーキで人を笑顔にしたい」という思いは、シンプルだが最も強く、いまの時代に最も響く信念なのかもしれない。
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