マル西製菓ぺんぎん一番堂
- 2020.07.17
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西岡 晃 (辻製菓専門学校 2018年卒業)
2020年4月22日OPEN
和歌山県有田郡有田川町天満1-15 TEL:0737-22-3822
商工会職員から和菓子職人へ。この異例の転身の背景には、西岡さんの後悔と使命感が隠れている。
それは、商工会に勤めていた頃のこと。地元企業のさまざまな相談に乗る日々を送っていた西岡さんのもとに、和菓子屋さんから後継者問題の相談が舞い込んだ。何とか後継者を見つけようと東奔西走したものの、結局、適当な人を見つけることができず、同時期に3軒の和菓子屋が廃業してしまったそうだ。
「このままでは、地域から和菓子の灯が消えてしまう」
自責の念とともに湧き上がってきたのは、自分が地域の和菓子を支えなければという使命感だった。
やがて商工会を退職した西岡さんは、ここから第2の人生をスタートさせる。このとき、すでに52歳。もちろん、和菓子づくりの経験などまったくない。辻調の門を叩き、夢中で技術と知識を吸収していった。卒業後は、大阪の和菓子屋で2年間修業し、55歳で今のお店の開業へと漕ぎつけたが、それは奇しくもコロナ禍真っ只中のこと。不安を抱えてのオープンだったが、蓋を開けてみれば連日大盛況で、昼過ぎにはすべて完売してしまうほどだった。
リスクを恐れず転身した西岡さんは、店名の通りまさにファーストペンギンだが、そこはさすが元商工会職員。コンセプトからターゲットまで、綿密に作り込んだ開業計画は完璧だったのだ。でも、これは商売の成功というより、西岡さんの地域愛の成就。そう、表現したい。
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