東京・自由が丘からほど近い、東急大井町線の尾山台駅から徒歩約3分にあるフランス料理レストラン「à Bêe(アベー)」は、カウンターメインのオープンキッチンのお店です。
オーナーシェフの阿部さんは、1998年に辻調理師専門学校を卒業、大阪の名店で修業ののち、ベルギー・フランスへと渡り、昨年「à Bêe」を開店。「à Bêe」という名前は、ヤギの泣き声と、阿部さんの名前にちなんでつけられたそうで、店内に入ると可愛らしいヤギの置物が迎えてくれます。
お料理には、阿部さんの故郷である鳥取県の境港から送られてくるお魚や実家で採れたというお野菜が出てきます。フランスにいたときに、チーズやワイン農家での生活を体験し、身の回りにある食材を使って家族へ料理を出す、それまでとは違ったフランスの一般的な家庭料理にふれたことで、お客様の顔をみながら、その地域で採れたものを中心に料理を作っていきたいと思うようになったとのこと。
この日いただいた鯛のポワレには、岩海苔が使われ、どこか懐かしい磯の香のする味が口に広がります。自家製のフォワグラのテリーヌには、実家で育てたという苺を使ったソースに、これまた実家で育った樹齢40年にもなる木からとれたというブルーベリーが添えられていました。それぞれに顔つきのわかる食材たちは、どこかやさしげです。お客様はご近所の方や、大阪時代の知り合いなども訪れてくれるとか。商店街から一本裏の通りにある立地ながら、舌の肥えた客層の多いこの地域で、予約をしないと入れないときもあるくらいの人気ぶりです。
「僕より上手なシェフはたくさんいるので、難しいことはそちらにまかせて、僕らしい料理といわれるようなものを出していきたい」と話す阿部さん。
メニューは、昼(2200円)・夜(4900円)とシェフおまかせのコースがひとつずつ。一皿ごとに、手間ひまをかけて丁寧に準備されたお料理たち。写真は夜のコース。品数の多さにもびっくりですが、素材の味をうまく引き出し、さまざまな食材を組み合わせ、優しい味わい仕上がったその味に、また行きたくなってしまうお店です。(YUKARI)