「お客様のため」は、きっとお店のためにもなる。
- 2021.05.27
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辻調理師専門学校 1987年卒業
河原 栄治
北海道・東京都・愛知県・大阪府・兵庫県・京都府・岡山県・広島県・福岡県・沖縄県の10都道府県を対象に緊急事態宣言が発出されています。
今回は時短営業に加えて酒類の提供も禁止になり、飲食業界にとっては厳しい日々が続いています。
先の見えない状況下で、辻調グループの卒業生がどのような活動をしているのかご紹介したいと思います。
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博多水炊きと鶏すきの店『とり勝』、お箸で食べるフランス料理『欧風懐石 勝』、鉄板焼きの店『じゅん』の3店舗を福岡で経営している河原さん。昭和40年に河原さんの父である克栄さんが創業した『とり勝』を含め、いずれも郊外に店を構えていることもあって「密な環境が敬遠されるコロナ禍では、お客様に安心してご利用いただけていると思います」と河原さんは言う。
「元々ゆったりした空間を確保している上に、福岡県のガイドラインに沿った感染防止対策も施しているので、お客様とお話していると安心して来店できるといった声をよくお聞きします。ですが、それが売上の数字に表れているかというと正直まだまだです。それでも3店舗ともコロナ禍を生き抜いてこられているのは、これまで築き上げてきた常連さんとの関係性や店を守ってくれているスタッフたちのおかげだと思っています」
『とり勝』は56年目、『欧風懐石 勝』は28年目、鉄板焼きの『じゅん』は15年目を迎えている。郊外型の店舗ということを考えると、それぞれの店がいかに地域で愛されているかよくわかる。ただ、その道のりは決して順風満帆だったわけではなく、最初はなかなかお客さんがつかない中、2度目3度目の来店をしてもらえるように地道な努力を積み重ねてきた結果なのだそう。
「20時や21時までの時短営業になった時は、ゆっくり食事やお酒を楽しんでもらうために、お客様からのご要望があれば開店時間を1時間早めるといったこともやっていました」
コロナ禍でさまざまな制限がある中でも、お客様のためにできることを模索する。こうした河原さんの姿勢こそが、常連客を生み、地域でながく愛されてきた理由なのだろう。
昨年4月、初めて緊急事態宣言が出された際に開始したテイクアウト商品の販売も、お客様に喜んでもらうために作り置きを一切せず、予約時間に合わせて商品を提供していたそうだ。初めてのテイクアウト商品の販売に戸惑う中でも、しっかりお客様への配慮を忘れない。河原さんの思考回路の根本には、一貫して「お客様のため」がある。
ただし、キレイ事だけでは店舗経営は成り立たない。
「お客様のためになることは、イコールお店の売上にもつながっていくことだと思っています」という河原さんの言葉通り、無償で身を切ってお客様に喜んでもらうのではなく、ちゃんと売上にもつながることを真摯にやっていくことが大切だ。
ただ、どうしても売上が回復しないのが宴会利用の損失分なのだそう。どの店舗も宴会利用が多かっただけに、この穴を埋めるための新たな取り組みにこれから注力していきたいと河原さんは言う。
「お弁当などの当日に食べるテイクアウト商品だけではなくて、賞味期限の長い真空パックの商品開発にも力を入れていきたいですね。あとは、家族やカップルでの記念日利用などを押し出したり、グルメサイトからのネット予約の整備をしたり。できることを積極的にやっていくつもりです」
時短営業にアルコール提供の禁止など、多くの武器が使えない中での闘いがしばらく続きそうだが、そんな中でも河原さんはお客様とお店の双方が幸せなになる方法を前向きに模索し続けるのだろう。
・博多水炊きと鶏すきの店 とり勝
福岡市博多区金の隈3-16-67 / TEL:092-503-5077
http://www.torikatsu.com
・お箸で食べる創作フレンチ 勝
大野城市乙金台3-1-32 / TEL:092-503-0503
http://www.f-katsu.com
・ステーキハウス博多鉄板 じゅん
福岡市博多区浦田2丁目21-7 / TEL:092-503-1131
http://www.hakata-jun.com
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