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叫化童鶏の出来上がり


杭州「知味観」の外観
杭州では一、二を争う名店で、1913年に創業された老舗。
本店は仁和路83号にあるが、
04年の秋、西湖の湖畔に大規模な新店がオープンした。


杭州「知味観」の厨房
知味観の料理長、夏建強氏。
片手鍋(北京鍋)を使っているのは
北方系の影響だろう。
杭州の名菜「龍井蝦仁」を盛り付けているところ。


杭州の景勝地「西湖」
杭州は蘇州とならんで「上有天堂、下有蘇杭
(天上に極楽あり、地上に蘇州、杭州あり)」と
称えられてきた。

   中国に限らず、食材を何かで包んで焼くという調理法は世界各地に見られるが、アジアではバナナ、ハス、笹などの葉、ヨーロッパでは岩塩やパイなどの包み焼きなどがよく知られている。調理道具が未発達の時代に食材を大きな葉などで包み、焚き火で蒸し焼きにする方法は、人間が「その場にある素材を、こう使えるのでは?」と発想した結果のもので、現在ではブリコラージュという思考法として知られている。

 江南地方の名菜に「叫化童鶏」がある。鶏を泥で包み、それを蒸し焼きにして作るのだが、中華鍋などの鍋を使わない、水を使わない、調理道具も一切使わないので、まさにブリコラージュの考え方によって生まれた料理といえる。

 さて、叫化童鶏の謂れには諸説あるが、そのひとつを少し詳しく紹介しておこう。明代のこと、江蘇省の常熟
という町で、ひとりの乞食(中国語で叫化子、叫花子という)が雌鶏を盗んで手に入れた。山の中に逃げて隠れる際、沼地に足を踏み入れ、履いていた破れ靴まで無くしてしまった。誰も追って来ないことを確かめ、いよいよ料理して食べようかと思ったが、山中では鍋もない。足元を見てとっさに閃き、泥を塗って焼くことを考えた。

 まず、鶏に水をつけて、上から泥をしっかりと塗りつけて焼き始めた。しばらく焼いて火が通ったかを確かめようとしたが、土の塊のようになっていたので手でたたき始めた。余りの熱さに鶏を地面に落としたら、土が割れて羽も泥と一緒に抜け落ちた。香りもよく、一口食べると非常に美味しかった。折も折、大晦日だったので美味しく年夜飯(年越しのご馳走)をいただいたという。この泥包み焼きの方法が後に広まり、さらに改良されて、かの地の評判の料理となった。

 叫化童鶏は今日、いろいろな地方、店で食べることができる。中でも杭州の名店「知味観」、「楼外楼」などでは、叫化童鶏が専門の料理人によって作られ、招牌菜(スペシャリティ)のひとつに数えられている。香港では「富貴鶏(フゥグワイガイ)」と縁起のよい料理名に変えて出すところも多い。富貴(お金持ち)になりたいという願望は誰しもあるが、手の込んだ料理なので金持ちが食べるものという意味にも捉えられる。

*ブリコラージュ
フランスの文化人類学者のレヴィ=ストロースが唱えた概念で、未開発社会特有の思考法にブリコラージュという言葉を与えた。「ありあわせの道具、材料を基に何かをなしとげようとする」という考え方で、料理作りにも通じる。
*江蘇省常熟市
常熟市は長江三角州にあって、東南に位置する上海までは100km足らず、西の無錫、南の蘇州まではそれぞれ約40kmの距離。現在、経済開発区として大きく発展中である。
*叫化童鶏の謂れ
叫花鶏、教化鶏ともいう。民家から盗んだ鶏が鳴き声をたてないように泥で包んだという説もある。

●叫化童鶏(鶏の泥包み焼き)
 杭州にある「知味観」の叫化鶏を紹介する。鶏は、雌で1〜1.2kgの小さなものを選ぶ。日本で一般的に知られている方法と異なり、腿と手羽の骨を抜いてから味を入れて形をととのえる。こうするとよりコンパクトにまとまり、火の通りも早く、やわらかい。サービス方法は、焼き上がりをサイドテーブルに出し、木槌などで泥をたたき割り、中から包んだ鶏を取り出す。器にのせてセロファン紙をはがし、鶏をさばいて小皿に盛り、焼き汁をかけて出す。この料理では、ハスの葉の香りが漂う鶏肉とジューシーな味わいのある肉汁を一緒に楽しみたい。花捲(蒸しパン)などを添えて出すのもよい。酒は、辛口の加飯紹興酒が合うが、少し重めの赤ワインを合わせて見るのも一興であろう。

 

■材料(1羽分)
嫩鶏(若鶏:約1kg)‥‥‥‥‥‥‥
五花肉(豚バラ肉)‥‥‥‥‥‥‥‥
冬v(干しシイタケ:戻したもの)‥
冬筍(タケノコ:水煮)‥‥‥‥‥‥
搾菜(ザーサイ)‥‥‥‥‥‥‥‥‥
青葱(ネギ)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
生姜(ショウガ)‥‥‥‥‥‥‥‥‥
荷葉(ハスの葉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥
玻璃紙(セロファン紙)‥‥‥‥‥‥
泥土(泥)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


1羽
60g
1枚
40g
30g
2本
適量
3枚
3枚
適量


*泥は保湿性に富み、肌理が細かく、粘りの強いものがよい。粘りの少ない泥は焼いたときに割れて蒸気が逃げるので、割れを防ぐために麻紐を細かく切ったもの、小麦粉などをつなぎとして加えるとよい。

 
<調味料A>鶏の漬け汁
紹興酒‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
醤油‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
老抽(たまり醤油)‥‥‥‥‥
糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
葱‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
姜‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
五香粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


300cc
少量
300cc
50cc
1/2カップ
適量
適量
小さじ1


<調味料B>詰め物用
葱油(ネギ油)‥‥‥‥‥‥‥
紹興酒‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
醤油‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
油(カキ油)‥‥‥‥‥‥‥
胡椒‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
二湯‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
水豆粉(水溶き片栗粉)‥‥‥
麻油(ゴマ油)‥‥‥‥‥‥‥


大さじ1
小さじ1
小さじ1/2
小さじ1
小さじ1
少量
大さじ2
適量
適量


       
  (1)叫化童鶏の材料  
  (2)鶏は腿の骨を抜く。  
  (3)手羽中の骨を抜く。  
  (4)漬け汁に鶏を漬け込む。  
  (5)詰め物を鶏の腹部内に入れる。  
  (6)手羽、腿肉を重ね、形をととのえる。  
  (7)ハスの葉、セロファン紙、ハスの葉で包み、紐で縛る。  
  (8)泥で包み、オーブンで焼く。  
  (9)鶏肉を崩して部位に分ける。  
  (10)小皿に取り分ける。  
 


■作り方

●鶏の下処理をする

1.お腹の中をよく洗い、水気をふき取る。

2.尻部の三角を切り、腹側を上に向け、両方の腿肉の内側に沿って皮を切り、腿の骨を抜く。

3.手羽元、手羽中の骨を抜き、嘴を切る。

4.頚の部分の皮を縦に切り広げ、喉元を切り、頚の骨は肩から切り落とす。(頭部は皮でつながっていること)

5.鶏は腹、背部を包丁の腹で叩いて骨を砕き、平らにする。

6.鶏の漬け汁を合わせ、(5)の鶏を15〜20分間漬ける。

●詰め物を作る
1.豚バラ肉、シイタケ、タケノコ、ザーサイ(水にさらして塩気を抜く)、ネギ、ショウガは細切りにする。

2.鍋に調味料Bのネギ油、ショウガ、豚肉、シイタケ、タケノコ、ザーサイを入れて炒め、紹興酒〜ゴマ油までを順に加えながら炒める。

3.(2)を器に取り、ネギの細切りを混ぜ合わせ、冷ましておく。

●鶏を包み込む
1.鶏の腹部内に炒めた詰め物を入れる。

2.セロファン紙(2枚重ね)にハスの葉(水気をふき取ったもの1枚)をのせる。

3.(1)の鶏の腹部を上にしてハスの葉にのせ、腿、手羽をお腹の上に重ね、小さくととのえ、上から漬け汁を約75ccかけ、ハスの葉でしっかりと包む。

4.ハスの葉の上からセロファン紙で包み、更にハスの葉(2枚重ね)で包み、麻紐(またはビニールの紐)できっちりと縛る。

5.オーブンプレートに紙を敷き、その上に泥を2cmほど重ね、上に包んだ鶏をおいて周囲に泥をかぶせて鶏を包み込む。

6.セロファン紙をかぶせて手で泥の表面をならし、形をととのえる。セロファン紙の上から手でならすときれいになる。これをオーブンに入れて約3時間焼く。

●食卓でサービスする
焼き上がれば食卓に出し、サイドテーブルでサービスする。
(1)木槌で全体を叩いて泥をはがす。

(2)泥を落としてハスの葉ごと鶏を器に移す。
(3)ハサミで紐を切り、ハスの葉をはがし、さらにセロファン紙をはがして鶏を出す。
(4)鶏の肉を崩し、詰め物と一緒に適当な分量を小皿に取り、一人ずつサービスする。


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