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コラム&レシピ
セパージュを飲む
昨今、とみに日常生活に入り込んできた感のあるワイン。ワインの風味はさまざまな要因で決まります。これら諸要因の中でもそのベースとなるものはやはり原材料のブドウの品種、すなわちセパージュではないでしょうか。そこでこの<セパージュを飲む>では代表的なセパージュの風味を通じてワインに近づいてみたいと思います。

vol.1 シャルドネ種(前編)

 シャルドネは、間違いなく、世界で最も人気の高い白ワイン用葡萄であり、気軽な日常ワインから、世界最高峰のワインまでを幅広く生み出している。
 したがって、例えば、レストランでワインの選択に迷ったような時には、とりあえず、
「シャルドネで、なにか1本奨めてくれないかな」
 と、ソムリエに相談しさえすればいい。そういう大雑把な注文でも、箸にも棒にもかからないようなハズレを飲まされることは、めったにないはずである。
 ま、時には、「バカに薄っぺらな酒だなァ」と思うような安酒に出会うこともないではないけれど、それでさえ、水がわりみたいな気分で飲めてしまう。
 そういう意味では、あたりはずれが少ないというか、「最低ライン」がまれに見るほどに高い葡萄品種なのだ。
 ただし、経験の浅い人が、「前回飲んだシャルドネは、とっても爽やかだったから」などという思い込みで、同じ傾向の味を期待してしまうと、毎回とんでもなく意表をつかれることになる。
 シャルドネほど、味わいのヴァリエーションに富んだ葡萄も、まためったにないからである。
 白ワイン用葡萄の一方の双璧・ソーヴィニヨン・ブランが、どこで栽培しようが、どんな醸造法をとろうが、この葡萄以外にはありえない、くっきりとした個性(青草の香りや柑橘類の皮の香り)をもっているのに対して、シャルドネは、気候や風土、作り手のポリシーによって、とうてい同じ品種とは思えないような、似ても似つかないワインになってしまうのだ。
したがって、どんな専門家でも「これがシャルドネの味わいだ」ということを明確に定義することは、まずできない。良く言えば「自由自在」。悪く言えば「優柔不断」な品種なのである。
 シャルドネは、もともとフランスのシャンパーニュ地方からブルゴーニュ地方にかけて栽培されていた。
シャンパンの「ブラン・ド・ブラン」(白葡萄からつくった白の意)の白葡萄もシャルドネのことだし、ブルゴーニュを代表する名酒として名高い「シャブリ」も、「モンラッシェ」も、「コルトン・シャルルマーニュ」も、「プイイ・フュイッセ」も、すべてシャルドネ100パーセントからつくられている。
単純にこうしてワインの名前をあげていっただけでも、「そんなに違う味わいのワインが、同じ品種から出来ちゃうの?」と、知らなかった人は、びっくりするに違いない。
 さらに、この品種は、20世紀の最後の数十年間に、世界中の葡萄畑に広がっていった。
 カリフォルニア、オーストラリア、南アフリカ、チリ、アルゼンチン、ニュージーランド、日本という・・・ま、これらは、もともとワイン後進国ばかりなので、繁殖しても不思議はないのだけれど、イタリア、スペイン、オーストリア、ドイツなどといった、ヨーロッパの主要ワイン産国の畑にまで分布域を広げ、その当然の結果として、いっそう味わいの幅を広げつつある。「優柔不断」に、いやがうえにも拍車がかかりつつあるというわけだ。
 さて、シャルドネの個性に、もっとも強く影響をあたえるのは、「気温」である。
 本家のブルゴーニュに例をとると、もっとも冷涼な気候のシャブリから南に下るにつれて、まず酸味の構成が(鋭く、爽やかな味わいの)リンゴ酸中心から(まろやかな酸味の)酒石酸中心に変わっていく(ま、これは、すべての葡萄品種にいえることなのだけれど・・・)。 
 ただし、最近の好みでは、リンゴ酸の多いワインは酸っぱすぎると感じられる傾向があるようで、その一部あるいはすべてが、乳酸菌の働きによるマロラクティック発酵によって(穏やかな酸味の)乳酸に変えられている。今では、最北端のシャブリでも、マロラクティック発酵ゼロという酸っぱいワインは、基本的になくなっていると思ってよい。
 ちなみに、70年代前半くらいまでのシャブリでは、今よりもずっと気候が涼しかったため、リンゴ酸があまりに多すぎて乳酸菌が死んでしまい、マロラクティック発酵はおこらなかった。
 当時のキンキンに酸の効いたシャブリを知っている者にとっては、いまのシャブリは、まるっきり別物としか思えない。地球の温暖化は、そういう所にも、はっきりと影を落としているわけだ。
 さて、北から南に移るにつれて、香りの質も変わっていく。わずかに青みを帯びたライムの香りに始まり、レモン、青リンゴ、アンズ、パイナップル、マンゴー、そして最終的には桃を思わせる甘く優しい香りへと変化していく。
 土壌は、基本的に石灰質を好む。
 シャブリ地区を旅すると、たいていの人が、畑の土の白さに驚く。太古の牡蠣殻の風化土壌で、こういう畑で育つから生牡蠣とよく合うワインができるんだ、なんてことを言う人もいる。
 南に下るにつれて、牡蠣殻というよりは、石灰粘土質が増えてくるが、いずれにせよ、よいシャブリは、石灰質の多い畑から生まれる傾向には間違いがない。
 たとえば、ずっと南のボジョレー地区の最北端に「サンタムール(愛の聖人)」というロマンティックな名前の村があるが、この村では、花崗岩土壌の土地にはガメ種という黒葡萄を植えて「サンタムール」という名前の赤ワインをつくり、石灰質土壌の土地にはシャルドネを植えて「サン・ヴェラン」という名前の白ワインをつくっている。
 山梨にある「登美の丘ワイナリー」では、シャルドネ用の蔦石坂園という畑に2千万年前の化石石灰を大量にすき込んで、この葡萄が好む方向に土壌改良を行っている。
 ちなみに石灰と無関係な土壌だと、なんとなく切れ味の悪い、ぼんやりとした印象のワインになりがちなように思う。そのメカニズムは、よくは分からないのだけれど。
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