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エチオピア高原はアラビカ種の原産地と目され、商業的栽培も対岸のイエメンに次いで古くから行われている。生産地域は、古くからの栽培地である東部のハラー、そして西部のジマ、南部のシダモに分かれる。自然乾燥式のハラーは風味がイエメンのモカ(ショート・ベリー)に似ていて、その細長い豆の形状からロング・ベリーと呼ばれ、かつてはエチオピアの最良の産地として名高かかった。現在でもその柔らかな酸味を高く評価するものも多いが、品質がやや不安定。ジマ、シダモは水洗式。特にシダモは近年大幅に品質が改善されている。小粒だが、強いボディと美しい酸味を持つ。いずれの産地のコーヒーも独特のモカ・フレーヴァーを有する。欠点数により、グレード1〜5に格付け。
ハラー |
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シダモ・イエルガチェフ・G1 |
西部のエルゴン山から中央部ケニア山にいたる高原地域が主要産地。生産量はそれほど多くないが、世界でも最上級のコーヒー産地とされる。ブルボン種とケント種が主体。豆は短形で肉厚、非常に重厚なボディと強い酸味がある。ただ、中米の高地産のコーヒーに比べ、酸味は鋭くない。中煎りでの提供も可能だが、強靭なボディとチョコレートの香りの生きる深煎りで真価を発揮する。サイズとカップによる格付けを行っている。AAの表示はサイズが最大で、かつカップでファインの評価を得たもの。乾燥が悪いためか、貝殻豆が多い場合がある(東アフリカ一帯に同様の傾向がある)。
ケニアAA
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日本では昔からキリマンジャロの愛称で親しまれ、また高く評価されている。品質が不安定な時期があったが、現在では改善されつつある。キリマンジャロ山の裾野のモシ、アルーシャがアラビカの主産地で、北西部のヴィクトリア湖近辺ではロブスタも産する。アラビカの主体はケニアと同じく、ケント種とブルボン種で、ケニアより多少小ぶり。日本での評価は高いが、ボディ、酸味ともケニアに比べ少し軽めで、国際的な評価はケニアに多少譲る。中煎りまではケニアに比べて、扱い易い。格付けはサイズによる。AAクラスが良品。
タンザニアAA
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いずれもケニア、タンザニアの西辺の高原地帯に位置する。この地域に起こった90年代の激烈な紛争は、コーヒー栽培に深刻な被害を与えたが、近年、生産は立ち直りつつある。特に国連の復興援助のてこ入れを受けた生産地域のコーヒーの品質改善は目覚しい。ブルンジは中型の長方形の豆で、新鮮なものはスパイシーで、きれいな酸味があり、ボディはかなり強い。ウガンダのコーヒーの大半はロブスタだが、東部の高原地帯では優秀なアラビカを生産する。ウガンダのアラビカは大型のやや細長い豆。酸味は柔らかく、ボディもあり、ふくよかな印象のコーヒー。ルアンダは深緑色の中粒の豆。優良なコーヒーだが、現時点ではブルンジ、ウガンダに比べて日本市場の流通量は少ない。いずれもブルボン、ケントが主な栽培品種で、最良品はAA表示。
ブルンジAA ンゴマ
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ブルンジAA ンゴマ |
ウガンダAA |
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ウガンダAA |
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いこのほかザンビア、ジンバブエなどは近年品質が改善され、日本市場でも優良なコーヒーが流通している。ザンビアは大粒の豆で、ボディは弱いが軽快な酸味を有する。ジンバブエはザンビアに比べてボディは重厚だが、多少品質のバラつきが大きい。マダガスカル、西部のザイール、コンゴ、リベリア、アイボリー・コーストなどの国々は主にロブスタを産する。
ザンビアAA |