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人・ひと・ヒト


(辻調理師専門学校40期生)
2000年04月
近畿大学医学部
附属病院栄養課
(大阪・大阪狭山) 就職
 


岡田氏本人、職場の人たちと
(左:川辺保市現場主任)
 
Q:病院の給食調理を職業にしようというのは辻調に入学された時からの希望だったのでしょうか?
 いえ、もともとは料亭で働きたいと思っていました。実際に、日本料理の専攻科も受講していました。でも、専攻科で講師から現場の話を聞いていくうちに「料亭という職場は自分が望んでいる方向と違うな」と思ってきたのです。それで、担任や進路指導部の先生方に自分が感じたことを率直に話して相談にのってもらった結果、就職の方向性を変えました。それが8月頃で、ちょうどクラスメートが就職活動を始めた頃でした。

Q:今の職場に就職された経緯について教えてください。

 就職に対する気持ちの整理がついて、レストラン以外の業態を見てみようと思いました。まず最初に会社訪問をしたのが、今の職場だったのです。採用担当者から職場の説明を受けて、「ここで働きたい」とすぐに決心しました。


Q:決心する時にとまどいはありませんでしたか?

 最終的な決断をくだすときはとまどいましたね。やはり、どのクラスでも全体的に有名店や大手ホテルへ就職しようという傾向がありましたので、その中で就職先を病院に決めたときには周囲から驚かれました。でも、実際に働いてみると想像していた通りの素晴らしい仕事で「あの時決心できて良かったな」とつくづく思いますよ。

Q:現在のお仕事の内容を教えてください。

 今は、“一般食”を担当しています。“一般食”とは、例えば目に怪我をした患者さんや骨折した患者さん向けの“制限”のない食事のことです。去年までは、正反対の“制限食”を担当していました。例えば、糖尿病患者向けの特殊な食事などですね。職場内の部門は、大きくこの2つに分けられます。

Q:具体的にはどのようなことをされているのですか?

 “一般食”での仕事内容は、ローテーションで毎日変わります。米を炊く日があれば、野菜を切る日、魚を焼く日などですね。時々、煮物の味付けをしたりもします。僕はここで働き始めて今年で5年目になりますが、5年目だから担当できる仕事ですとか、新人だからこの仕事はさせないということはありません。

Q:日々作られるメニューは、どなたが決められるのですか?
 メニューは、すべて栄養士が決められます。僕らは、栄養士から渡される献立表通りに料理を作ります。ただ、献立表といっても、材料や分量は記載されていますが、作り方は記載されていません。だから、作り方や盛り付けを自分で決めなければなりません。わからないことがあれば、自分で調べたり、先輩に教えてもらったりする必要があります。

Q:出勤体制はどのような感じですか?
 朝9時に出社して、夕方6時過ぎに退社です。僕には2人の子供がいるので、仕事から戻ってきた後に子供たちと遊べる時間があるというのは嬉しいですよ。日々の生活に時間のゆとりがあるというのは素晴らしいことです。休日は、週に1回か2回です。ただし、不定休です。

Q:この仕事ならではの苦労はありますか?

 僕らが心を込めて料理を作っても、患者さんの症状によっては何を食べても美味しいと感じられないケースがあります。仕方のないことですが、やはり残念なことです。

Q:患者さんと触れ合うことはあるのですか?

 時々、配膳車に料理を載せて患者さんにお配りしますので、その時に直接コミュニケーションが取れます。患者さんからの「今日はすごいご馳走だね」という一言が嬉しいですね。入院をされていると、日々の楽しみはものすごく限定されてしまうのですよ。その中で食事をとることが患者さんにとって大きな楽しみの1つになってもらえればなと思います。

Q:将来的な目標はお持ちですか?

 世間的に病院食は“まずい”というイメージがありますので、それを払拭していきたいですね。病院食というのは、“衛生面での安全”が大前提となりますので、“味”が二の次になることはあります。例えば目玉焼きですが、半熟のほうが美味しいですよね。でも、患者さんには衛生上、完全に火を通したものしかお出しできないのです。美味しいものを作れるのに、それを提供できないことはとても悔しいです。だからこそ、制限のある中でできる限りの改善を行って、美味しい料理を提供していきたいと思っています。

Q:病院食も日々変化していくわけですね?

 はい。僕が入職した頃と比べると、食事の内容も味もかなり変わってきたと思います。病院食というと無機質的なイメージをされると思うのですが、僕たちはなるべく旬の素材を使って、季節を感じられる料理を提供するように工夫しています。それと、出来合いのものを使うことはほとんどしません。やはり一から手作りしたほうが安全だし、味も美味しいですから。手間さえ惜しまなければ、それだけでも料理の味は変わってきますよね。

Q:最後に、後輩へのメッセージをお願いします。
 就職活動をするときに、この店で働けるとカッコイイだとか人にスゴイと思われるとか、そういう世間体を気にしてこの職場は良いとか悪いと決め付けるのは、間違っていると思います。進路の先生や先輩の話をよく聞いて、自分の気持ちに正直になって、自分に合った職場を探すことが大切だと思います。そして、初めから「ここで働くのは・・・」なんて思わずに、一度自分の目で確認をしてもらいたいですね。

出倉 佑一さん

(エコール辻大阪 フランス・イタリア料理課程14期生)(フランス校調理30期生)
東京・広尾
2004年10月『ラ・レゼルヴ』就職

     
恒岡 可奈さん (辻調理師専門学校39期生/辻調理技術研究所12期生)
大阪・大阪狭山
『文琳茶菓舗』 2004年2月 就職
     
高田 大輔さん (辻調理師専門学校40期生/辻調理技術研究所13期生)
和歌山・岩出
「イタリア料理 アイーダ」2003年10月 就職
     
岡田 建嗣さん (辻調理師専門学校40期生)
2001年7月 兵庫・神戸
2000年04月近畿大学医学部附属病院栄養課 (大阪・大阪狭山) 就職
     
五嶋 妙子さん (調理40期生)
京都・祇園
『割烹ふじ原』 2002年3月就職
     
寺田 繁さん (大阪日本カレッジ8期生)(調理技研13期生)
大阪・心斎橋  
懐石料理「桝田」 2001年4月就職
   
後藤 洋平さん (大阪フランス・イタリアカレッジ11期生)
2001年7月 兵庫・神戸  
レストラン 『オルフェ』就職
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