辻調グループ校　コンピトゥム　Compitum

この地域は新世界のコーヒー生産のルーツ。アフリカ原産のコーヒーは、新世界では、ここカリブ海から南米、中米一帯へと広まっていった。

カリブ海にコーヒーの苗が持ち込まれたのは、1723年。フランスの海軍士官、ガブリエル・ド・クリューがパリの植物園から持ち出したコーヒーを、苦難の末にマルチニックに移植、その冒険譚はコーヒー伝播史の中でも最も名高いエピソードの一つだ。ここから、まずフランス領のグァドループ、ハイチ、さらにキューバ、ジャマイカへとコーヒー栽培が広まり、特にハイチは18世紀半ばには世界最大のコーヒーの産地に成長した。

カリブ海諸国では、現在もコーヒーの生産が盛んだが、イエメン→ジャワ→アムステルダム植物園→パリ植物園のルートで到来したティピカ種を、今もなお栽培している国が多い。現在では世界的に見れば、この地域の生産量自体は、ごく少ない。

		生産地区によってブルー・マウンテン（東部山岳地帯）、ハイ・マウンテン（中部）そして2地区以外のプライム・ウォッシュトの３つのカテゴリーに分かれ、さらに各地区で、No1～3の格付けがある。周知の通りブルー・マウンテンは世界で最も高値で取引されるコーヒー（もちろん日本のおかげ）。青みがかった舟形の豆で典型的なティピカの形状。多少肉厚でカリブ海諸国のコーヒーとしては香りも高くボディも強い。特に最も名高いウォーレンフォードは良質だが豆が硬いので、扱いは難しい。ハイ・マウンテンはブルー・マウンテンに比べ香り、ボディともに薄いが、火は通りやすい。中煎り向きのコーヒー。輸出向けの最低ランクのプライム・ウォッシュトでも、他のカリブ海の倍以上の値段。ブルー・マウンテンはもちろん優良なコーヒーではあるが、価格に見合うものかは疑問。ブルー・マウンテンNo1
イスパニョーラ島の西半分を占める。かつて世界のコーヒー市場を支配した大産地だが、今はその面影はない。典型的なティピカの形状の豆が多いが、肉が薄い。香りは良いがボディが薄く、深煎りには向かない。国情が不安定なため、品質もロットによるバラつきが大きい。格付けはサイズのみ。ドミニカ、キューバも同じことがいえるが、焙煎豆ではブルー・マウンテンと外見上の区別はしにくい。サイズによって格付けされる。ハイチＳ１７／１９
		イスパニョーラ島の東部分。かつて良品は灰青色で多少肉厚だったが、現在のものはほぼハイチと同じような特徴。しかしハイチほど品質のバラつきはない。優良品はハイチよりもボディがあり、深めの煎りに適合するものもある。生産地帯名によって取引される。ドミニカ・バラホーナ
ドミニカ、ハイチ、キューバは、形状はよく似ているが、味、香りともにキューバが最も素直で、濁りがない。酸味も柔らかいが、ボディは薄い。浅煎りから中煎りで真価を発揮するコーヒーといえよう。格付けはサイズと欠点数。キューバ・クリスタルマウンテングァドループ、プエルトリコなどの優良な産地があるが、生産量が少なく、日本国内では、入手し難い。

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