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海外からのレポート 来自北京 vol.4 鈴木稔(辻調理師専門学校34期生・辻調理技術研究所7期生)
〜「北京から」の意味。このコラムでは、実際に北京で暮らしている中で感じたことなどを綴っていきます。
分野も食の情報だけでなく、広く北京の今を伝えていくように努めます。〜
 
春節が過ぎてはじめて新年 激動の一年がようやく幕を閉じます
 
河北省出身、年齢不詳の我が妻。
昨年は誕生日を忘れてしまい、
家庭内不和の原因を作ってしまった。
以後「小心(気をつけます)」。
 
  ちょっとややこしい中国の暦
といっても日常の生活には、なんら影響なし


 あけましておめでとうございます。
 Happy New Year.
 過年好! しかも今年は丑(牛)年なので、Happy牛Year.
(中国語では牛『Niu』の発音が『new』と非常に似ていることから)

 中国では1月25日が大年三十(大晦日)、26日が春節(旧正月)であり、盛大に新年を迎える。世界の多くの国が新暦を採用している中、中国は今も尚、(一部)旧暦を採用している数少ない国だ。とはいえ、オリンピックを成功させ、今や世界の注目を一身に受けている中国。日常の生活は、日本をはじめとした世界のスタンダードである新暦での日付で進む。つまり、現在の中国の暦は、新暦と旧暦が混同した、実に“ややこしい”状態にある。

 中国の暦法については解説で簡単に紹介するので割愛。ここでは、この新暦と旧暦の混同がどういう不便さを生み出すか、実体験をもとにしたエピソードをいくつか紹介してみる。

1) 普段の生活では、新暦によるカレンダーで日付が定められているので、中国人も何時春節なのか、毎年確認しなければならない。中国では、旧暦の大晦日、12月30日から1月6日までがお休みとなるのだが、その旧暦の大晦日や春節が新暦の何月何日かを確認しておかなければ、新暦の日付で販売されている帰省用の列車の切符すら買えない。よしんば、日付がはっきりしても、この時期の帰省用の切符売り場には、朝5時、6時からすでに長蛇の列ができている。切符購入にはかなりの精力が必要となる。

2) 中国人の中でも、自分の誕生日を新暦で記憶している人と、旧暦で記憶している人がいる。ちなみに我が妻も旧暦で誕生日を記憶しているため、毎年、妻の誕生日を確認しなければならない(という煩わしさがある)。妻の誕生日を忘れようものなら、家庭内不和の原因にもなりかねないので注意しなければならない。また「戸口本」(戸籍抄本に相当)などに記載されている生年月日も、旧暦で記載されていると主張する者もいれば、新暦で記載されていると主張する者もいる始末だ。

3) 新暦1月1日、世界が年を越しても、中国では春節を越えなければ、まだ年を越したことにならない。中国人の感覚では、(例えば今年なら)2009年1月26日の春節を越えるまでは、まだ“2008年”なのである。よってこの時期の「今年」という言葉は、2008年を指すのか、2009年を指すのかがはっきりしない。また、この期間に生まれた方の干支も旧暦か新暦で異なる。再度、我が妻のことで恐縮だが、彼女の干支が「羊」か「猿」か、よくわからない状態になる。さらに、中国の方の年齢に至っては、生まれた年が1歳から始まる「数え年」で数えるため、表現が日本人より1歳上になる。こうなると我が妻が一体何歳なのか、まるでよくわかっていない状態になる。

4) 伝統的な祝祭日は基本的に旧暦で話されることが多いので、翻訳などの仕事に従事している方は、2種類のカレンダーが必要になる(と想像される)。ちなみに、中国では、春節以外にどんな伝統的な祭日があるのか、簡単に以下にまとめた。
@元宵節(旧暦1月15日)2009年2月9日。春節から15日目の満月に「元宵」とよばれる団子を食べ、正月を締めくくる。
A清明節、新暦の4月4日前後。清明節には故人を偲び、先祖の墓参りをする習慣があるため「掃墓節」とも呼ばれる。また、野山を散策することも盛んで「踏青節」の名もある。「清明」とは太陽の周期で決められている二十四節気の一つであり、毎年概ね4月4日前後で変動が少ない。
B端午節(旧暦5月5日)2009年5月28日。愛国詩人屈原の故事にまつわる。もち米を竹の皮で包んだ粽を食べ、屈原を偲ぶとよくいわれているが、実際は屈原の故事を知らない中国人も多い。
C中秋節(旧暦8月15日)2009年10月3日。秋の名月を楽しむ日。真ん丸いお月様をイメージした月餅を食べ、家族団らんを楽しむ。
D重陽節(旧暦9月9日)2009年10月26日。重陽の節句は元々は、自分や家族の長寿と一家の繁栄を祈る行事。中国ではこの日、家族や友人などと連れだって近隣の小高い丘に登る。古くは、山に登り天と地の神を祀るという思想に因んで行われた始皇帝や漢の武帝の封禅の祭祀と通じるものがあるという。

 このように、現在中国では、通常の生活において、世界のスタンダードである新暦を採用、春節など伝統的な行事の際、旧暦での習慣に従う。また、中国で普通に使われるカレンダーや携帯電話の待ち受け画面には、新暦の日付と、旧暦の日付の両方記されていることが多い。


2008年から年間3回あった大型連休が2回に
よみがえれ! 古きよき中国の伝統文化


 2007年までの中国では、旧暦の1月1日から一週間、新暦5月1日、労働節から一週間、新暦10月1日の建国記念日からの一週間と、1年間に大型連休が3回あった。従来の制度は、地方への消費拡大に大きく貢献してきた。1999年の10月の国慶節では、2800万人ほどしか旅行に出かけなかったが、2007年には1億4600万人にまで増加した。しかし、大量の都市部住人が移動し、観光地が対応しきれず、そのために観光資源の破壊が進み、自然環境への影響も無視できなくなった。交通機関の混雑も無視できなくなった、などが議論されていた。また上述4)にあるような中国の伝統行事を見直そうと、ついに、新しい「法定祝日制定」が2007年12月に制定されることになった。

 2008年から従来の7日間連休が3回の制度から、7日間の連休が春節と10月1日の国慶節(中国の建国記念日)からの2回に、そして、元旦(1月1日)、労働節(5月1日)、清明節(4月4日前後)、端午節(旧暦5月5日)、中秋節(旧暦8月15日)に前後の土日を併せた3連休の形で実施。トータルでは、年間11日間の祭日となり、従来よりも1日増加することになった。

  通常仕事をしている者、とりわけ外国人や中国でも遠方から来ている人にとって、大型連休が分散されると、帰省の機会が一回なくなってしまうということから、10月および春節の帰省ラッシュに、さらに拍車がかかるのではという声もある。それには、今回の「法定祝日制定」と同時に有給休暇の制度も整備され、地方出身者の帰省を“名目上”助けることになっている。

 
春節(旧正月)、妻の実家河北省へ帰省。
北京へ戻る切符購入のため
切符売り場へ。
この調子だと、本当にいつ帰れるのか
わからない!
 
河北省秦皇島 オリンピック・スポーツセンター・スタジアム
室内の売り場も同様、長蛇の列。
昨年までは「外国人専用」窓口があり、
パスポートを提示すれば、
優先的に購入できたのだが、
今年は「外国人窓口」は撤去
春運、帰省ラッシュで23億の人が移動?
唖然とする切符販売システム


  明日は大晦日、激動の2008年がいよいよ幕を閉じる。日本のような“忘年会”はないが、年末ともなれば、会社ごとに「年会」と呼ばれる食事会などが催されることが多い。

  そして、中国の会社では、1月25日(大晦日)から休みに入るが、弊社のように外地(北京以外の地)から来ている従業員が多いところでは、一週間くらい前から一人また一人と帰省し、オフィスはガランとしてくる。ちなみに帰ってくる日もはっきり告げずに帰省していくのには、中国の国情が隠されている。日本人的なら、帰省のため一週間前から休暇申請する勇気も出ないと思われるが……。

  中国では、春節の前後、帰省ラッシュのこの時期を「春運」(今年は、1月11日から2月19日まで)といい、各鉄道機関などが、特別ダイヤを組んだりする。その他、チケット価格の不当な吊り上げや、ダフ屋行為、列車の積載超過などの取り締まりなどが強化される、ということらしい。

  帰省時のチケットの購入は常識を超えた大変さがある。予約は基本的に受け付けられず、窓口販売のみとなる。しかも、出発日から前倒しで購入できる日数も“勝手に”決められている。これも、3日前から受付というところもあれば、2週間前から、というところなどまちまち。公のアナウンスもないので、当然、切符争奪戦は激化し、早朝6時くらいになると、街のチケット窓口には長蛇の列ができている。よしんばチケットがあっても「無席」チケットであったりする。同僚の話では、電車の中は、無席チケットで帰省する人がゴザなどを敷いて横たわり、足の踏み場もないほどだそうだ。

  さらに難儀な点は続く、なんと往復で切符が買えない。鉄道局の管轄が違うとのことらしいが、これには、絶句せざるを得ない。帰省してから、北京へ戻るチケットを再び争奪戦を経て求めなければならない。帰省するときは、何時戻れるか分からない、ということになる。

  飛行機のチケットは当然ながら基本的には往復で購入する。中国の通信システムもこれだけ発達しているのだから、電車のチケットも携帯電話で予約できるようになってもおかしくはない。大きい声ではいえないが、鉄道当局にコネがある人から、切符を入手(場合によっては買占め)していくシステムを見逃しているとしか思えず、当然ながらダフ屋行為も蔓延る。同僚も、「仕方がない、これが中国の国情さ」とはいっても、このようなシステムが「おかしい」とはいわない。有給の規定も大事だと思うが、この不便でコネが幅を利かすシステムこそ、先に何とかして欲しいものだ。

  ちなみに、この春運で移動する人数を各メディアが報じている。今年の場合「23億“人”が移動」という表現を見ることがあるが、これは「人数」ではなく、中国語の「人次(延べ人数)」という単位で表されている。一人が往復、つまり2回移動したことで「2」と数えられる。一人が片道のみ、一人が往復した場合は「3人次」となる。

  2008年は中国南部から中部を襲った50数年ぶりともいわれている氷雪災害で、交通が麻痺。ちょうどこの春節の帰省ラッシュと重なったため、合計でおよそ600万人(推定)の鉄道乗客が足留めされ、群衆が家に帰れずじっと待っている駅の光景が数日間続いたことが思い出される。

  中国人にとって、(切符獲得戦を経て得られる)春節は、日本の正月と同じ、 家族みんなが揃い団欒するかけがえのない時間なのである。
 
※本稿では太陽暦(グレゴリオ暦)を新暦、太陰・太陽暦を旧暦もしくは農暦と記した。
解説
暦法について:
 現在、太陽暦として日本をはじめ、多くの国で採用されているグレゴリオ暦。1582年にローマ教皇・グレゴリウス13世がユリウス暦を改良して制定した暦である。地球が太陽の周る周期を元にして定められている。1年を365日とし、4年ごとに閏年をおいて366日とする。(400年間に3回ほど閏年とせず平年に戻す) 通常私たちがいう「旧暦」とは、太陰・太陽暦を指す。太陰太陽暦とは太陰暦を基にしつつ、閏月を挿入して実際の季節とのずれを補正した暦である。月の満ち欠けの周期を1カ月(29日か30日)とし、1回帰年の近似値である12カ月を1年とするが、1年が354日となり太陽暦の1年に比べて11日ほど短くなる。このずれが3年で約1か月となるので、約3年に1回、余分な1か月閏月を挿入してずれを解消する。ちなみに、2009年は閏月の年にあたり、2009年6月23日から7月21日の「閏五月」が挿入される。

筆者/鈴木 稔
辻調理師専門学校 1994年卒業 (34期生)
辻調理技術研究所 1995年卒業 (第7期生)


辻調理技術研究所第7期生。
卒業後、同校中国料理技術職員として勤務。
2003年3月同校を退職し中国北京へと向かう。
語学留学の後は、日本語雑誌『北京TOKOTOKO』『SUPERCiTY BEiJiNG』編集部にて、現地の日本人を対象にした情報誌製作に従事、現在は、中日2カ国語によるコミュニケーション専門誌『中日伝播』編集部にて勤務。
日本語ページ、文化欄、日系企業の取材等を担当。
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