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コラム&レシピ

 子どもの頃、母が作ってくれた「ちらし寿司」は、おせち料理の煮しめの残りや煮物の残りなどが入っているものでした。今から思えば混ぜご飯のようなものですが、これを「ちらし寿司」だと思っていたので、調理師学校時代、授業の「ちらし寿司」を見たときは衝撃を受けました。それは多くの食材を使って、それぞれ丁寧に下処理するうえ、出来上がりの彩りが大変美しく、本当に感動しました。職員となり、研究のためにいろいろなお店の「ちらし寿司」を食べたり、本で見たりしますが、お金の取れるプロの「ちらし寿司」はやはり力の入れ方が違います。しかし、こういうものが本来の「ちらし寿司」だと分かっていても、授業で教える度に、母の作ってくれた「ちらし寿司」をどこか懐かしく思い出すこともあります。お袋の味とは、そういうものかもしれません。
 さて、「ちらし寿司」といえば、雛節供によく作られる料理です。日本料理というものは、季節感とか年中行事を意識せずには成り立ちません。でも、お雛さまを飾ってもらったことがないとか、こいのぼりや兜は友達の家でしか見たことがないという学生が、年々少しずつ増えています。生活様式が変化しているので仕方のないことかも知れませんが、日本料理を教えることの難しさと、日本の伝統的な文化が失われつつある悲しさを感じます。
 現在、食育ということが大きく取り上げられていますが、食事をキチンと取るということだけでなく、料理作りを通して、文化も継承してもらえたならと思います。たとえ、お雛さまを飾ることができなくても、「ちらし寿司」を家族や友達と一緒に作るだけでも、雛祭りを味わうことはできます。うまく作れなかったとしても、みんなで協力して作ったと思えば、おいしさも倍増することでしょう。

 
 

<私の“提案”>

■提案すること■
「すし」といえば、おいしいすし飯を作ることが大切です

■そのために■
すし飯を作るとき、ご飯には炊き上がった後で合わせ酢を混ぜるので、その分、水加減を調節しなくてはなりません。普段のご飯を炊くよりも、一割ほど水を減らして少しかために炊きましょう。炊き上がったら、蒸らした後、半切りにあけ、熱々のご飯にすばやく合わせ酢を回しかけ、米全体に酢が均一に回るように混ぜ合わせます。

■作り方

 1【下準備をする】
 
  1. ボウルに合わせ酢の材料を合わせ、かき混ぜて砂糖と塩を溶かす。1日おいて、昆布を取り出す。
         
  2. 干瓢と干し椎茸は水につけて戻す。干し椎茸の戻し汁はとっておく。
  3. くちなし味醂を作る。鍋に味醂と砕いたくちなしの実を入れて、5〜6分煮る。漉して冷ます。
  4. 金時人参と絹さやのつけ地を合わせて煮立て、冷ましておく。
 
 ▼2【すし飯を作る】
 
  1. 炊飯用の鍋に洗い米と昆布だしを入れて炊く。炊き上がったら、乾いた布巾をかぶせて蓋をし、約5分蒸らす。
  2. 半切りにご飯を広げ、合わせ酢を全体に回しかける。切るように手早く混ぜ、自然に人肌程度になるまで冷ます。すし飯を一ヵ所にまとめて、かたく絞ったぬれ布巾をかぶせておく。  
         
 
 ▼3【具の準備をする】
 
  1. 車海老は頭を背わたとともに取り、腹側の身と殻の間にのし串を打つ。鍋に海老の煮汁の酒を入れて煮切り、水と調味料を加える。沸騰すれば海老を入れ、弱火で火を通す。煮汁につけたまま氷水で冷まし、30分つける。串を抜いて殻をむき、適当な大きさに切る。  
       
  2. 紋甲烏賊は表面に細かく鹿の子包丁を入れ、一口大に切る。鍋に酒塩の材料を入れて火にかける。煮立ったら、紋甲烏賊を加えてさっと煎りつけ、表面が白っぽくなったら、おか上げして汁気を切り、冷ます。  
       
  3. 鰻の蒲焼きは皮を下にして網にのせ、皮目をあぶり、一口大に切る。
         
  4. 厚焼き玉子を作る。すり鉢に白身魚のすり身を入れ、なめらかになるまでする。溶いた卵黄と卵を少しずつ加えながら混ぜ合わせ、調味料を加える。流し缶に流して、表面の泡を消し、湯煎にして180℃のオーブンに入れて、約30分焼く。流し缶からはずして一口大に切る。  
         
  5. 戻した干し椎茸は軸を除き、熱湯で5分ゆでる。鍋にだし汁、椎茸の戻し汁を入れて、落とし蓋をして火にかける。沸騰したら弱火にして約10分煮る。砂糖、味醂を加えて煮汁が1/2量になったら濃口醤油を加え、5〜6分煮て、そのまま冷まして味を含ませる。  
       
  6. 戻した干瓢は水気を絞り、塩を振って塩もみする。熱湯に入れて、落とし蓋をして十分にふくらんで爪が立つくらいになるまでゆでる。ざるに上げて水気をきり、広げて冷ます。鍋に干瓢の煮汁のだし汁と調味料を入れて火にかける。沸騰したら火を落とし、干瓢を加え、煮汁がなくなるまで煮詰める。  
     
  7. 金時人参は花びらの形の棒状にむき、2mm厚さに切る。塩ゆでし、つけ地につける。
  8. 絹さやは筋を取り、塩ゆでして水に落とし、水気をきる。つけ地につける。
  9. 錦糸玉子を作る。卵と卵黄は溶いて塩を加えて混ぜ、裏漉しする。卵焼き鍋を弱火にかけて熱し、サラダ油を薄くひき、卵生地を流し入れ、全体に薄く広げる。表面が乾いてきたら箸で四方をはずして、卵の端をつまんで持ち上げ、裏返す。さっと焼いて取り出し、半紙にはさんで余分な油を吸わせる。端を切り落とし、4cm長さの細切りにする。  
     
  10. 海苔は中火であぶる。パリパリになったら乾いたさらしに包み、もんで細かくする。
 
 ▼4【仕上げる】
 
  1. 椎茸旨煮6枚と干瓢をみじん切りにし、すし飯に混ぜ合わせる。残りの椎茸4枚は一口大に切る。
       
  2. すし飯を器によそい、一面にもみ海苔、その上に錦糸玉子を敷き詰める。車海老、紋甲烏賊、鰻蒲焼き、椎茸旨煮、金時人参、絹さや、厚焼き玉子、木の芽をのせる。  
 
 
 「ちらし寿司」作りで雛祭りを体感しましょう。今回提案する「ちらし寿司」は、たくさんの具があります。ひとりで作るには大変なので、家族や友達などで集まり、協力して楽しく作りましょう。家庭の台所はそんなに広くありません。具材によっては、簡単に料理できるものもあれば、前もってやっておかなくてはならないものもあります。皆さんのチームワークが問われる料理です。
 実は、私たちも、今回の写真撮りでは協力してちらし寿司を作りました。今回は、松島先生(左)と畑田先生(右)が手伝ってくれました。2人の協力があったからこそできた「ちらし寿司」です。
 
     
 

■コック・オ・ヴァン 西洋料理教授 斉藤直樹
■川味覇王蟹 中国料理教授 西浜 康之
■Pandoro パンドーロ 製パン助教授  宮崎 裕行
■りんごのタルト 製菓助教授  瀬戸山 知恵美
■ちらし寿司 日本料理助教授  石田充
■名菜シリーズ
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