イタリアのパンドーロをご存知ですか? パンのような発酵菓子で、ヴェネト州ヴェローナが発祥です。よく似たパネットーネは日本でも有名になりましたが、パンドーロはまだまだ知名度が低いようです。どちらも通常はクリスマス時期に食べますが、最近では季節を問わず年中見かけるようになりました。
「黄金のパン」という意味を持つパンドーロの名前は、卵が生地に与える黄金色に由来すると言われています。原型はナダリンNadalinと呼ばれるヴェローナの家庭で作られてきた伝統菓子が変化したもので、それとは別に2つの菓子から名前といくつかの特徴を受け継いで現在の形になったと考えられています。ひとつはルネッサンス期のヴェネツィアで貴族階級の宴などで供されていたパン・デ・オーロPan
de oroと呼ばれる金箔で覆われた円すい形のパンで、もうひとつはパン・ディ・ヴィエンナPan di Vienna(「ウイーンのパン」の意)という卵やバターをたくさん使用したパンです。
パンドーロは本来、パネットーネ同様、発酵種を何度も継ぎながら何日もかけて作られ、独特の風味を持った日持ちのするパンです。レーズンやオレンジピールなどを練り込むパネットーネとは違い、パンドーロにはドライフルーツ等は入りません。生地の配合がかなりリッチで、スポンジケーキのような甘く柔らかい食べ口になるのが特徴です。