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大明寺素齋
鑑真和上ゆかりの揚州大明寺にある精進レストラン。



富春茶社
揚州の茶館「富春茶社」は1885年の開業、湯包が有名。
   最近、揚州に行く機会に恵まれた。揚州は中国江蘇省にあり、北京や杭州と京杭大運河で結ばれ、古くから南北交通の要所として発展し、特に清代には塩商人らの財力で繁栄した都市である。

 以前から揚州で有名な「揚州炒飯」について探ってみたいと思っていた。揚州炒飯は五目チャーハンとして中国各地、中華街でも一般的に知られているが、最初に出会ったのは香港の水上レストラン「太白海鮮舫」で、1970年頃だった。香港の広東料理店には昔からメニューに揚州炒飯があって、料理名の揚州には何があるのだろうかと、妙に引っ掛かったことを憶えている。

 揚州炒飯のルーツとしては、隋代の献立表『謝諷食経』に「越国食砕金飯」という記述がある。これは「越国(浙江)では砕金飯(金のかけらのような飯)を食べる」という意味で、揚州の蛋炒飯(卵チャーハン)の前身といわれている。隋の時代に今日のようなチャーハンがあったかどうか定かではないが、その後「砕金飯」は揚州に伝わり、改良されて副材料も増え、今日のような揚州炒飯になったという。御飯の一粒ずつが卵液に包まれ、炒めると金色に輝くので、俗に「金裹銀(金で銀をくるむ)」といわれた。

 宿泊先の揚州迎賓館で崔国富料理長に話しを伺った。逸話では、清代に乾隆帝は江南地方をしばしば巡視したが、揚州を訪れたときに道中の農村で食事を所望した。農民は用意する時間も材料もなく、残りの御飯に朝採った鶏卵を入れて炒め、ネギを加えて出した。乾隆帝から「これは何と言う料理か」と聞かれ、御付きが農民に尋ねたところ、残り物を利用したもので名もなく、とっさに「揚州の炒飯です」と答えた。その後、宮廷に戻った乾隆帝に「揚州で食べた炒飯が食べたい」といわれ、蛋炒飯だけではと考え、豪華な食材を加えて作った。これが揚州炒飯の名として広まったという。その真偽はともかく、よく出来たストーリーである。

 さて、揚州迎賓館の一階には『正宗揚州炒飯』と書かれた金看板が掲げられている。聞くと、当地で数年前に揚州炒飯のコンテストが行われ、迎賓館からエントリーした選手が優秀な成績をおさめ、その証しとして授与されたという。ここでは揚州市も認めるお墨付きの炒飯が食べられるというわけである。実際に正宗揚州炒飯を作ってもらったが、一般的な揚州炒飯とは工程が違うので比較するのも面白いと思う。

●正宗揚州炒飯
(揚州風のスペシャル・チャーハン)

 揚州炒飯とは、蛋炒飯をベースにして豪華な食材が入った五目チャーハンを指す。一般的な炒飯の工程は、溶き卵を加熱して半熟になれば御飯を入れ、卵と一緒に炒めながら具、調味料を加えて仕上げるが、この揚州炒飯は油で揚げた錦糸状の卵を使い、スープ、蝦子(エビの卵)、干貝汁(干し貝柱の戻し汁)、鶏油でコク、風味をつけ、御飯は最後に入れて炒める点に特徴がある。ポイントは、材料を同じ大きさに切る、卵を錦糸状に揚げる、材料を炒めてスープを含ませる、御飯と具を混ぜながらしっかりと炒め、香りを出すこと。

 
■材料(4人分)
海参(ナマコ:戻して)‥‥‥‥‥‥
冬筍(タケノコ:水煮)‥‥‥‥‥‥
白鶏(蒸し鶏:胸肉)‥‥‥‥‥‥‥
蝦仁(小エビ:むき身)‥‥‥‥‥‥
冬v(干しシイタケ:戻して)‥‥‥
青葱(青ネギ)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
火腿(中国ハム)‥‥‥‥‥‥‥‥‥
干貝(干し貝柱:戻して)‥‥‥‥‥
青豆(グリーンピース)‥‥‥‥‥‥
鶏蛋(鶏卵)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
香米飯(御飯:インディカ米)‥‥‥
油‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


50g
40g
30g
50g
40g
20g
20g
2個
少量
4個
400g
適量


 
■材料(4人分)
二湯(スープ)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
蝦子(干したエビの卵)‥‥‥‥‥‥
塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
胡椒‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
干貝汁(干し貝柱の戻し汁)‥‥‥‥
鶏油‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


150cc
20g
少量
少量
40cc
60cc


(1)揚州炒飯の材料 (2)卵を油通しする
(3)材料を炒める
(4)調味料を入れる

(5)御飯を入れる

(6)充分に炒める
 


■作り方
1. ナマコ、タケノコ、蒸し鶏、小エビ、干しシイタケは1cm角に切る。青ネギはみじん切り、中国ハムは粗みじんに切り、干し貝柱はほぐしておく(写真1)。

2. スープを沸かし、エビの卵、塩、胡椒、干し貝柱の戻し汁を加えてボウルに移し、最後に鶏油を入れる。

3. 鶏卵はよく溶きほぐしておく。

4. 鍋を空焼きし、油を入れて170℃に熱し、3.の卵を高い位置から糸を引くようにして入れながら手早く混ぜる(写真2)。色をつけないようにして揚げ、卵が錦糸状になれば網杓子に空けて油をきる。
(注)錦糸状に揚げた卵は油をたっぷりと含んでいるので、充分に油分をきること。

5. 空いた鍋に油少量を入れ、青ネギ、小エビを炒め、さらに卵以外の材料を加えて炒める。

6. 5.の中に揚げた卵を入れて炒め(写真3)、2.の調味料を加えてさらに炒める(写真4)。

7. 6.に御飯を入れ(写真5)、水分がなくなるまで充分に炒め合わせる(写真6)。

* この揚州炒飯はCSTVスカイA・料理大学「魚米の郷・江南を行く(2)」で紹介されている。

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