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海外からのレポート 来自北京 vol.2 鈴木稔(辻調理師専門学校34期生・辻調理技術研究所7期生)
〜「北京から」の意味。このコラムでは、実際に北京で暮らしている中で感じたことなどを綴っていきます。
分野も食の情報だけでなく、広く北京の今を伝えていくように努めます。〜
 
金メダル獲得国も過去最多に 北京五輪が投げかけたメッセージ
 
中国に関係のないカードだが、観客席はほぼ満席
中国に関係のないカードだが、
観客席はほぼ満席
 
河北省秦皇島 オリンピック・スポーツセンター・スタジアム
河北省秦皇島
オリンピック・スポーツセンター・スタジアム
(33000人収容)
 
入場ゲート前で入場整理する
ボランティアスタッフ
入場ゲート前で入場整理する
ボランティアスタッフ
 
会場内で席を案内する
ボランティアスタッフ
会場内で席を案内する
ボランティアスタッフ
 
会場外での警備。万一に備える
会場外での警備。万一に備える
 
会場の近くには海水浴場も
会場の近くには海水浴場も
 
  史上最大規模のオリンピック
新記録も続出したハイレベルな大会


  2008年8月8日、開幕式を迎えた第29回夏季五輪北京オリンピック大会では、204の国・地域から、約1万6000人の選手、役員が参加、史上最大規模の大会となりました。開幕式には、80人以上の各国政府首脳が一堂に会することに加え、五輪を標的にしたテロの心配などがあり、開始前の少々ピリピリした雰囲気を各メディアが伝えていましたが、当日は特に大きな問題も発生せず、「有朋自遠方来、不亦楽乎」(友遠方より来たる、また楽しからずや)、2008人による打楽器の演奏、「和」の活版印刷をモチーフにした演出など中国四大発明を主題にした壮大な演出で幕を開けました。開幕式には先の地震の被災地の子供を行進の列に加え、劉大会組織委員会委員長の挨拶では全世界に向け感謝の意を表明、苦難を乗り越えての開催を印象付けました。

  24日までの17日間、日本の北島選手、アメリカのフェルプス選手、ジャマイカのウサイン・ボルト選手の活躍をはじめ43種目で世界新記録が、132種目で五輪記録が塗り替えられるなど、競技レベルの高さが際立ちました。メダル獲得総数では、アメリカに及ばなかったものの、中国が金メダル51個を獲得、国歌が流されない日は無かったほどです。

  全体を通じてのスムーズな大会運営、中国がダントツの成績を収めたこと、そして外国語を流暢に話し、競技会場だけでなく街頭での道案内や応急処置など、笑顔を絶やさず献身的に務めたボランティアの働きは、外国から来た選手だけでなく、政府要人やメディア関係者など多くの人から賞賛を受けました。ちょっとした小ネタですが、女子ビーチバレーの会場の砂の中から、金属探知機で選手が試合途中に落とした結婚指輪を発見したというエピソードも伝えられています。

  そして今回のオリンピックではメダル獲得国・地域が87カ国と、スポーツが世界各国の市民生活に浸透し、国民の健康の増進に繋がるのと同時にスポーツが世界各国への広がりを意味する大会でもあったのではと感じています。




国民的スポーツ卓球
スポーツにより世界が平和になる?


 毎日中国選手の金メダル獲得が報じられる中、110メートルハードル世界記録保持者であり、国民的ヒーローでもある劉翔選手の棄権は、国民を震撼させた話題のひとつになりました。前回アテネオリンピックで金メダルを獲得、その後も数々の国際競技大会で優勝を果たし、北京オリンピックでは、祖国での金メダル獲得を最も期待された選手の一人だっただけに、彼の棄権に対する国民の落胆ぶりは想像に難くありません。一部ネットなどでは彼を中傷するような書き込みもありましたが、メディアでの報道や一部知り合いの中国人の話を聞いている限りでは比較的寛容な態度で彼の棄権を受け止めているようです。

 さて中国では、誰もが楽しむ卓球、当然競技人口はかなりの数が予想されます。現に、私も中国に来て、近所の子供や、おばちゃん、同僚、友人たちと卓球をすることがありましたが、総じてみんなうまい! (私が下手なのではと言われたらそれまでだが…)

 そして街の公園の一角にはほぼどの公園にもアスレチック器具と同時に卓球台が設置されて、朝から卓球を楽しむご年配の方々の姿が見受けられます。ハードルは越えたことが無くても、卓球をしたことがない中国人はおそらくいない、普及度はこのレベルまで達していると思います。

 この2つの事柄から、スポーツのあり方が垣間見られます。(メダル獲得数で負けている日本人の立場からは言いにくい部分もあるのですが)

 これまで劉翔選手ほどのスター選手が現れなかったことに起因している部分もあるのでしょうが、彼一人の育成を優先した点、陸上界だけでなく、スポーツの浸透よりも可能性のある選手を選抜し、強化しようとする中国スポーツ界の姿勢には、オリンピックのあり方を考えた場合、少し疑問を投げかけざるを得ません。

 オリンピックが世界にスポーツの魅力を伝え、一人でも多くのスポーツ愛好家が増えること、各国国内でスポーツの環境が少しでも整備され、決して選ばれた人だけが、スポーツの楽しみを享受することがない、国境を越えた市民スポーツ文化の普及こそが、スポーツを通じて実現する国籍を越えた対話や平和、“ひとつの世界”の実現を願った、近代オリンピックの父、クーベルタンのメッセージなのではないかと思うからです。



何かと話題に事欠かなかった北京五輪
大会前後の小言には少々辟易


 「オリンピックも終わり、北京も静かになったかな?」
先日受け取った日本の友人からのメールの一文。
 「この人気(ひとけ)の無さは? 中国じゃないみたい」
ちょうどオリンピック閉幕式の日、取材のため外出した際、同僚がこぼした一言。

 オリンピックが終わり、静かになったか、また元の賑わいを取り戻したか。もちろん競技場付近の賑わいは大会終了と同時に静けさを取り戻しているでしょうが、生活者の実感では「また元の賑わいを取り戻してきた」という感じがあります。

 大会期間中には、第一回目でも触れましたが、交通規制が敷かれ、一般の乗用車の半分が公道を走れなくなっています。加えて、地下鉄や快速バスなど、乗車前にはX線で荷物の中身を検査、外地からの北京市内への進入には数回に渡る身分証明書のチェックなどが行われたり、、地下室に住んでいる外地からの労働者を一時帰省させるなど少々尋常ではない措置が採られています。さらに一部環境への影響を考え、セメント製品の製造や加工を行う工場などは一定期間操業停止が命じられています。

  規制に次ぐ規制で、外出もうんざり、といったような心理作用が功を奏したのか、大会期間中は街の秩序が保たれ、実に“静かな”北京となりました。

 賑やかなのはむしろ場外。オリンピックの話題が日増しに増えていくなか、テロ防止を前提とした極端な規制、食の安全問題、人口降雨(または人口消雨)、カルフールでの不買運動など一連の出来事がメディアを賑わせていました。大気汚染を懸念して出場を辞退した選手の話題などは、北京よりも海外での盛り上がりの方が印象的です。そして開幕式当日には、花火の合成映像、少女の口パク、漢民族が少数民族の衣装を着ていたことなど、競技にあまり関係の無い話題が目白押し。中国の友人からは「重箱の端をつつくようなことを…」とあきれられる始末です。

 口パクの是非はともかく、どうしてこうなるのか、素直に北京五輪の成功を祝えないのか。(もちろん手放しで喜べない事情もあったが)もはや国境を越えたスポーツマンシップを育む場として始まった頃の想いはどこかに行ってしまったようです。そして国威発揚とスポーツの舞台を借り政治的メッセージを伝える場となってしまった原因は一体どこにあるのでしょうか。

 2016年大会には日本も誘致に名乗りを上げています。今回のオリンピックをどう見て誘致作戦を展開するのでしょうか。今回のオリンピックでは、オリンピックの在り方を含めて世界にいろんなメッセージを投げかけた大会であったと思います。
 
今大会の驚異的な記録を一部抜粋
◆マイケル・フェルプス選手(アメリカ)
これまでの一つの大会での金メダル最多獲得は72年ミュンヘン大会のマーク・スピッツの7冠。これを抜き8冠に輝いた。

◆ウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)
100m決勝で9秒69という驚異的なスピードで世界新記録を樹立。200メートル、400mリレーを含め3冠を達成。

◆北島康介(日本)
100m平泳ぎでは世界新記録達成。200m平泳ぎでは世界記録にはあと一歩及ばなかったが1位、2冠を達成。

◆陸上 女子 棒高跳び エレーナ・イシンバエワ
5メートル05の高さを跳び、世界新記録を樹立。世界中を魅了した。
 

筆者/鈴木 稔
大阪あべの辻調理師専門学校1994年卒業 34期生
辻調理技術研究所1995年卒業 第7期生


卒業後、同校中国料理技術職員として勤務。
日本での在勤中には、サッカー協会の審判員としてなみはや国体(大阪開催)への参加経験もある。
2003年3月同校を退職し中国北京へと向かう。
語学留学の後は、日本語雑誌『北京TOKOTOKO』、『SUPERCiTY BEiJiNG』編集部にて、現地の日本人を対象にした情報誌製作に従事、現在は、中日2カ国語によるコミュニケーション専門誌『中日伝播』編集部に勤務。
日本語ページ、主に日系企業取材を担当。

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