下平ご夫婦
はじめまして。遅ればせながら、私、下平 庄吾(32歳)と申します。現在、スイスのジュネーブにある『在ジュネーブ国際機関
日本政府代表部全権大使公邸』の料理人として働いています。スイスでは、ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語の4つを国語にしています。ジュネーブを含むスイス西部地域はフランス語圏となっています。今回は、現在私が住んでいるスイスの、特にフランス語圏の“食”についてレポートしたいと思います。
まずは、スイスでの一般の食事についてですが、山岳地域が多いだけに保存食的なものが多くソーセージやハム、乾燥肉、チーズが種類豊富に揃っています。ヴァレー州の郷土料理として前菜でよく食べられる“ヴィアンドセッシュ”(乾燥肉)という1〜2年かけて空気乾燥させた大きな牛肉の塊を薄くそいだものがあります。これがまた、ワインに良く合います。
豚肉などの加工品は料理にもよく用いられる
皆さんが良く知っている有名な料理と言えば、“チーズフォンデュ”(fondue
de fromage)でしょうか。地方・家庭によって手に入るチーズの種類から配合の割合、ワインの種類、オードヴィーの種類、ニンニクの量などさまざまです。知り合いのスイス人の方は、週2回は自宅でチーズフォンデュを食べるそうです。
チーズフォンデュ
街中のチーズショップ
また、他にもフォンデュと呼ばれる料理に、“フォンデュブルギニオンヌ”(fondue bourguignonne)と“フォンデュシノワーズ”(fondue
chinoise)があります。“フォンデュブルギニオンヌ”は、角切りにしたサイコロ状の牛肉か馬肉を鍋の中に熱したオイルで揚げ、数種類のソースと薬味をつけて食べる料理です。“フォンデュシノワーズ”は、薄切りの牛肉か豚肉を、野菜や春雨の入ったコンソメスープにくぐらせ、数種類のソースと薬味をお好みでつけて食べます。日本のしゃぶしゃぶのようなもので日本人の口によく合うと思います。
フォンデュシノワーズはまるで日本の“しゃぶしゃぶ”
フォンデュシノワーズ用の薄切り肉とソース
また、フォンデュに劣らず、スイスのポピュラーなチーズ料理に“ラクレット(raclette)”というものがあります。食材名であるラクレットというチーズがそのまま料理名にもなっています。これはとってもシンプルな料理で、ラクレットというチーズを熱で溶かして、その溶けてトロトロになったところを、茹でたジャガイモにからめて食べます。これが本当にとっても美味しいです!!
ラクレットを炭火で炙っているところ
そして、スイスと言えば“チョコレート”。スイスは、“ミルクチョコレート”の発祥地というのはご存知でしょうか?(1875年にスイス人のダニエル・ピーターがミルクチョコレートの製法を発明したのです)ショコラティエが市内のいたるところにあり、食べる量も日本人とは比べものにならないくらいです。(年間:日本人220gに対しスイス人は11kg)
VERSOIXという町で行われたチョコレートフェスティバルの様子(4月1日)
次に、スイスでの食材の購入事情について少し書いてみたいと思います。まず、野菜や果物の購入ですが、新鮮で良い状態のものが欲しいならやはり、マルシェ(朝市)に赴くのが一番でしょう。マルシェには、今の時期、白アスパラ、アーティチョーク、苺などの旬の食材が所狭しと並んでいます。一般家庭も大体の食材はマルシェ(市場)で購入し、足りないものをスーパーで買うことが多いようです。
次に肉類ですが、マルシェでも買えますが、街の屋内にある肉屋で買うほうが、品揃え、下処理共により良いと思います。スイスでは、牛・仔牛・仔羊・豚等は肉屋で、鶏類・ウサギ・仔山羊・ジビエは鶏屋で買う事が出来ます。小さなお店でも驚くほど種類が豊富です。
最後に魚介類ですが、海の物はなかなか良質のものは少なく同じお店でも日によって鮮度・品種にばらつきがありよく悩まされますが、レマン湖の魚に関しては比較的良いものが専門の魚屋で買う事が出来ます。“オンブルシュヴァリエ”(岩魚のような魚)、“ペルシェ”(10cm程の白身魚)、“フェッラ”、“マス”などの種類があります。
プロ向けに生鮮食品やドリンク、食器や器具など幅広い品揃えの大きなお店もあり、大量に安く購入できますが、生鮮食品は品質的に見るとマルシェや個人商店のような小さなお店のほうが質のいいものがあるようです。
ジュネーブ市内の肉屋と菓子屋
今回は、1回目ということで、簡単な報告とさせていただきましたが、次の機会には、もう少し日常での出来事、体験を含めた突っ込んだ話をしたいと思っています。
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