辻調グループ校 卒業生ネットワーク Compitum
HOME
辻調グループ校 辻調グループ校
コラム&レシピ
海外からのレポート マイペンライ vol.4
腐乳を使用したピンク色のスープを張った麺。
 (中国から入ってきたと思われる麺料理)
タイでポピュラーなタイスキ
チェーン店で食べている所です。
陶器に入ったココナッツミルクの甘いお菓子。
屋台でしかまず売られていない。 
(タイのタイ料理)
屋台で売られているアヒルの舌 
(観光客が食べないタイ料理)
インスタントラーメンのヤム(サラダ)
観光客が行くタイ料理店では
まずメニューに載っていません

「これも新しいタイの料理スタイル!?」
  タイ人の味覚“辛い!辛い!辛い!
 
 “日本人が日本で日常食べている料理を「日本料理」と言わないように、タイ人もタイで日常食べている料理を「タイ料理」と言わないのではないか。つまり、「タイ料理」という言葉が出来たのは、タイ料理を非日常の料理として食している外国人がつけた名称であるはずだ”という風にタイ研究家は述べている。最近になってこそ、タイ以外の国でも「タイ料理」レストランを見かけるようになったものの、「タイ料理」を外国人が口にするようになったのはわずかここ50年来の話であって、今でもタイで食されている料理のほとんどが“家庭料理”の域を出ていないのが実情である。まだまだ私たちの知らない「タイ料理」が数多く存在するのは、このような事情によるのである。しかし、どうも理由はそれだけではないようである。

 日本人に有名なタイ料理のひとつである『タイスキ』は、1960年頃に登場したまだまだ新しいタイ料理である。この料理は、華僑(中国本土からの移民)向けのレストランを経営していたタイ人が中国料理の“火鍋(フォグオ)”をタイ風にアレンジしたものである。その食事のスタイルは日本の“しゃぶしゃぶ”に似ているが、『スキ』の名前がついているのは、その当時タイで流行っていた「スキヤキ・ソング(上を向いて歩こう)」から名前を拝借したというウソのような実話で、そのあたりがなんともタイ人の“マイペンライ”的な発想である気がする。

 上記の『タイスキ』はちょっと極端な例かもしれないが、私たちが一般的に捉えている「タイ料理」という食べ物は、元々が「中国料理」で、そこから派生した「華僑料理」がベースであることは事実である。それは、華人が昔から現在に至るまでタイという国・社会の中心的な構成民族になっているためである。

 では、昔からタイという国に根ざした料理は存在しないのかというと、当然存在しているのである。首都バンコクでも旅行で来た外国人がまず口にすることのない多種多様な“郷土の味”的「タイ料理」が、地方から出てきたタイ人を中心に街角で食されている。

 先回も少し書かせていただいたが、タイ料理の歴史を見てみると16〜17世紀に中南米原産の唐辛子が欧州を経て東南アジアにまでもたらされて以来、常に諸外国の影響を受けながら「新たなタイ料理」創造され、発展し続けてきている。また近年における劇的な異国文化の流入で、昔では考え難かったアジア以外の世界中の料理がタイにもあっという間に入ってきた。バンコク市内の外国料理のレストランを巡ると、フランス料理店にはフランス人の、インド料理店にはインド人のという具合にどのお店もその国の方が腕を振るい、タイ人スタッフと協力してお店を営んでいる姿が多く見られる。全く異なる文化同士が重なること(足し算)はなくとも、交わること(乗算・掛け算)は可能で、そこから新たな文化(=料理)が無限に生まれ続けていることを確認することができる。異国の文化に対して寛容(マイペンライ的な良いとこ取り?)なタイ人だからこそ、今後「新しいタイ料理」が次々と出てきてもなんら不思議ではない気がしてならない。

[次回はタイ人の味覚についての予定です。]
       
   

[筆者]
鈴木孝一郎 〔辻調理師専門学校 1998年度卒業・39期生〕  
現在26歳。タイ王国・バンコクにある日本料理店で勤務をする傍ら、
時間を見つけてはいわゆる“タイめし”を食べる生活を続けている。
2006年3月に日本帰国。現在、新たな活動を模索中。
個人でタイ料理のホームページも作成しており、
数多く「タイの日常食」が紹介されている。

HP “Let's cook Thailand” 
http://cookthailand.web.infoseek.co.jp/

ブログ“Let's cook Thailand” 
http://cookthai.exblog.jp/

意見・感想等はこちらまで↓
E-mail kousuzuki@hotmail.com


筆者近影 
タイ料理屋台の
おっちゃんと共に


海外からのレポート バックナンバー
from 北京 鈴木稔さん
辻調理師専門学校 1994年卒業
辻調理技術研究所 1995年卒業
  ■来自北京   Vol.4 春節が過ぎてはじめて新年 激動の一年がようやく幕を閉じます
■来自北京   Vol.3 「安心・安全をお届けします」 食品安全問題に立ち向かう企業
■来自北京   Vol.2 金メダル獲得国も過去最多に北京五輪が投げかけたメッセージ
■来自北京   Vol.1 オリンピック開催間近 変わりゆく街、北京より
     
from ドイツ 小畠利雄さん
辻調理師専門学校
フランス校調理
     
from ネパール 沖館泰賢さん
エコール辻大阪 フランス・イタリア料理課程5期生
フランス校調理22期生
     
from スイス from スイス 下平庄吾さん
辻調理師専門学校34期生
     
from オーストラリア from オーストラリア 押永栄夫さん
辻調理師専門学校 夜間部21期生
     
from タイ from タイ

鈴木孝一郎さん
辻調理師専門学校 39期生 

  ■マイ・ペン・ライ〜 最終回 「マイペンライ」はマイペンライ!?
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.13 鳥インフルエンザとタイ
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.12 ビールが・・・うまいっ!!
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.11 王様とクリスマスとお正月
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.10 台所が・・・無い!?
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.9 ヌーベル・キュイジーヌ・タイランド
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.8 人も歩けば犬に当たる?
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.7 タイからお酒が消える日
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.6 タイ米のお話
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.5 タイ人の味覚“辛い!辛い!辛い!”
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.4 タイ料理論 その2
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.3 タイ料理論 その1
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.2 今回ばかりは“マイペンライ”といきそうにも無い。
■マイ・ペン・ライ〜 Vol.1 「タイ」という国は非常に面白い所である。
■名菜シリーズ
■セパージュを飲む
■あなたの食べたいものは
 なんですか?「提案編」

■あなたの食べたいものは
 なんですか?

■海外からのレポート
■Dr.クリンネスから一言
■コーヒーを考える
■主任教授の知識を盗む
     
コンピトゥム会員NET
コンピトゥム公式Facebook
INFOMATION

住所・電話番号など登録情報の変更、メールアドレスの変更などがございましたら、「コンピトゥム会員NET」からログインして変更をお願いいたします。

IDやパスワードをわすれた場合などで、ログインできない場合

compi@tsuji.ac.jp までメールでお問合せください。 その際、メール件名に「コンピトゥム会員NETのIDとパスワード問合せ」、本文に、「氏名(フルネーム)」、「生年月日」、「最終卒業校」、「問い合わせ内容」を明記してお問い合わせください。

尚、求人・求職情報(キャリアマップ)に関しましては、info-career@tsuji.ac.jpメールでお問い合わせください。

 
   
主催イベント・講習会
■イベント情報一覧
■総会
 
辻調情報
■証明書の発行について
■授業料減免制度
 
卒業生情報
卒業生のお店情報
■卒業生の活躍情報
■特集・トピックス
 
入会・会員情報変更
■コンピトゥムとは
■コンピトゥム新規入会申込
■コンピトゥム会員情報の変更
 
開業開店サポート情報
■製菓衛生師試験日程情報
■開業事例集
■役立つリンク集
 
食のコラム
■食のコラム
 
  compitum archive
 
  おいしいネット
 
  ボキューズ・ドール
 
  フランス校
   
  通信教育講座  
   
  求職情報  

 ■プライバシーポリシー
辻調グループ校
This Home Page is
brought to you byTSUJI GROUP
To Contact:compi@tsuji.ac.jp

Copyright(c)1997 TSUJI Group
Tel:06-6629-6452