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タイの田舎ではニワにいるトリ
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市内(ヤワラー)の賭殺場・
深夜のみ活動
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カオマンガイ屋台
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カオマンガイ
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屋台にぶら下がっている鶏
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道端で鶏肉を焼いている
(ガイヤーン)
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イサーン(タイ東北地方)名物のガイヤーン |
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昨今、世界各地で感染が報告されている鳥インフルエンザ(H5N1)。ここタイを始めとする東南アジア地域では既に160名を上回る人への感染、内80名をこす死亡者が確認されている('06年2月下旬現在)。最近のニュースでは、この鳥インフルエンザがアジアだけでなく欧州、アフリカにも飛び火し、世界規模での感染拡大が懸念されているのは周知のとおり。
私が初めて鳥インフルエンザという言葉を耳にしたのは約2年前。東南アジア一帯で流行した新型肺炎(SARS)騒動の直後であった。近隣のベトナムや中国で発生した鳥インフルエンザはタイ国内に大きな衝撃をもたらせた。それもそのはず、タイ人にとって鶏肉は最も身近な食材の一つだからだ。東南アジアにおける鳥インフルエンザの感染が発覚後、「鶏肉を食べるのは危険」というイメージがタイ国民の間に浸透し、「鶏肉を買わない、食べない」という風潮が一挙に広がった。
実際に、KFC(ケンタッキー・フライドチキン)ではまったくと言っていいほど客足が途絶え、その当時はどこの店舗も閑散としていた。また、“カオマンガイ”と呼ばれる鶏肉ご飯を専門に提供する屋台では、全く商売にならず苦肉の策として“豚肉ご飯”に切り替える屋台もあったほどだ。当然ながら、私が働いていた日本料理店にも少なからず影響が及んだ。鶏肉を使った料理は全く注文を受けず、中でも“親子丼”が不人気ランキング・1のメニューになってしまった。しかし、ここはタイ。なぜか、卵に対しては警戒感が希薄で、「親子丼はダメ。でも、カツ丼ならマイペンライ(大丈夫)」とちょっと矛盾しているタイ人客が多かった気がする。
タイ社会を激しく揺さぶった「鳥インフルエンザ騒動狂騒曲」(私は当時の騒動を勝手にそう名づけている)もしばらくすると落ち着きを取り戻し、「やっぱり、鶏肉を食べるのはマイペンライ」と一転して鶏肉に対する警戒感が消え去ってしまった。
例えば、バンコク隣県のチョンブリー県にある動物園では、鳥インフルエンザで大量に死んだ鶏を生のまま餌として虎に与えた。案の定、虎が鳥インフルエンザに感染して大量死するという珍事が起きた。その他にも、感染した鶏を遺棄するのは勿体無いと、加熱不十分のまま食べた親子が感染死するという事例もあった。
先に述べたように、世界的な鳥インフルエンザの感染が懸念され、その対策に追われているにもかかわらず、タイ国内ではその状況に反して警戒感が徐々に薄くなっていく状態が続いている。現在、KFCは以前の通り盛況である。カオマンガイ屋にも客足が戻った。それだけタイ人にとって鶏肉は食生活に欠かせない食材の1つなのであろう。
先日、首都バンコク近郊の街で幼い子供が鳥インフルエンザに感染した。タイ国内で鳥インフルエンザが発生したというニュースはその後も続いたが、2年前のような大きなニュースにはならなかった。既に鳥インフルエンザという言葉に盲目的になってしまったタイ国民。当然ながら、人から人への鶏インフルエンザの感染が拡大すれば、マイペンライとはいかない筈だが…。
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