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ネパールの首都カトマンドゥに来て1年半。政治的ごたごたにも慣れ、赤・青唐辛子がない食事に対してはちゃぶ台をひっくり返す勢いの今日この頃。そんな暴漢に何故か寄稿依頼が。私がひっくり返りました。
さて。“ネパール”と聞いてもピンとこない方も多いのではないかと思いますので、まずは簡単な説明をしたいと思います。
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ラト・マチェンドラナート祭り
(ネワール人のお祭り)
パタン・ダルバールスクエアにて |
北はチベット(中国)、東・西・南の3方はインドに囲まれていて、どこもかしこも一触即発の陸の孤島で・・・。国内に目を向けましょう。ヒンズー教を国教とする世界唯一の国であり(法律改正により、ヒンズー教が国教でなくなる可能性がでてきました)、チベット仏教とヒンズー教が平和的に混在する国でもあります。観光資源は豊富で、エベレストなどを含むヒマラヤトレッキングや、カトマンズ盆地内のお寺を一目見ようと世界各地から旅行者が訪れます。特に数多くのお寺は世界遺産にも指定されている立派なものばかり。食に目を向けると、ヒマラヤの高地からインドに接するタライ平原まで異なった環境に暮らしているおおよそ36の民族からなる多民族国家なので、食文化もまさに多彩。基本的にはインド食文化圏ですが、古くからの土着民族の料理やチベット食文化も色濃く繁栄されており、非常に興味深い土地なのです。今回はその中から代表的なものを紹介しようと思います。
日常食『ダル・バート』
ダル(豆のスープ)、バート(米)、タルカリ(野菜カレー)、アチャール(口直し感覚で少量添えられるもの。酸味や辛味を強く感じる味付けです)がひと皿に盛り付けられます。味の決め手はスパイスです。クミン・ターメリック・シナモン・コリアンダー・カルダモン・生姜・にんにく・赤唐辛子・青唐辛子・山椒・胡椒などを料理によって使い分けます。食べ方はシンプルです。ご飯にダルをかけてタルカリを指先(右手)で合わせながら口に運びます。手で食べた経験がない人は一度挑戦してみて下さい。意外なことに気付きます。それは指先でも味わえるものがあるのです。最初はできなくてあたりまえ。ネパールに来ることがあったら、是非挑戦してみて下さい。
結婚式やお祭りの時は肉のカレーなどが添えられとても豪勢ですが、一般家庭の毎日の食事では、青菜の炒めたものや、ジャガイモ、カリフラワーのカレーなどのタルカリを一品つけ合わせるだけの素朴な食事です。宗教的に神聖な生き物である牛は食べません。食用になるのは鶏肉・山羊・羊・水牛がありますが、カーストによっては肉を口にしない人もいます。
ここからは、土着民族であるネワールの料理を紹介したいと思います。
もともとカトマンドゥ盆地は3つのネワール王国で構成されていました。現在も彼らは独自のカレンダーやお祭りなどの生活様式を持っており、食生活も例外ではありません。
地酒『ロキシー』
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ロキシー注ぐお姉さん |
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ネワールのお祭り時の食事、
チュウラとおかず
左から、ウォー、マサラまみれのゆで卵、
水牛のカレー、豆のカレー煮、鶏カレー |
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モモ |
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チュウラとおかず(ネワール人の宴会料理)
葉っぱで作った伝統的なお皿 |
お米から作られている蒸留酒。各家庭で作られており、市販はされていません。飲みやすい口あたりのわりにはアルコール度数が高いので、飲み過ぎには注意して下さい。誰も止めてくれません。レストランのメニューに記載されていなくても、注文すればだしてくれます。
ロキシーのおつまみ『ウォー』
豆をすりつぶしたものをベースに、卵、肉のミンチなどを混ぜて焼きます。豆の種類を変えることでいろんな形や色のバリエーションが存在します。
お好み焼き『ツァタモリ』
米粉で生地を作り、野菜や卵やチーズなど好みのものをのせて鉄板で焼きます。モチモチとしていて歯触りがとてもよく、食べはじめたら止まりません。熱々をどうぞ。
おやつの代表『モモ』
蒸し餃子。お昼ご飯替わりにもよく食べられています。中身は水牛のミンチが一般的。もちろんマサラまみれです。胡麻のソースやトマトのソースもついてくるので、一緒に食べます。もちろんソースもマサラまみれです。
干飯『チュウラ』
籾付きの米を茹で、天日で干したものを煎ってからつき、殻をのぞいたもの。ネワール族の宴会料理には欠かすことができないもので、水牛の煮凝りや、水牛の生肉のマサラ和えなどと一緒に出てきます。おつまみで出てくる羊や山羊のドライミートをマサラで味付けした炒めものなどと一緒に食べるのも美味です。
食後は『ダヒ』
ヨーグルト。素焼きの大きなポットに入れて作られ、切り分けず、ポットごと売られています。すごく濃厚でおいしいので、ネパールに来たら是非食べて下さい。ネワール料理を食べた後には必ず出てきます。少し残しておいたチュウラと一緒に食べて下さい。
それでは最後に食事中の注意点を。
通常、水を飲む時は水差しから直接飲みます。口に直接流し込むわけですが、他人が使った食器や触れたものは不浄という概念がありますので、絶対に口をつけてはいけません。それと、お腹がいっぱいで残すのがもったいないからといって、残り物を他人にすすめることは失礼にあたります。自分が使ったスプーンや、手でつまんで渡すなんてのはありえません。基本的におかわりは自由ですので、もったいないと思うなら最初から少なめに盛り付けてもらうといいですよ。
「なますて〜」 拝
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食事の前。まずは神様に |
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お祭りの時は赤い服を着る |
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飲むヨーグルト |
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満月祭りの際は、
ランプで飾り付けがされる |
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レストランでのネワール料理の
フルコース |
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糸を紡ぐおばあちゃん |
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ナガルコットからのヒマラヤの眺め |
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カトマンドゥの町並み
遠くにヒマラヤ山脈 |
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豆売り屋さん |
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唐辛子を乾燥中 |
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街角のなんでも屋 |
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唐辛子をぶら下げて
乾燥させるための作業 |
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町角の少年 |
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ヨガをしている修行層(サドゥ) |
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ティハール祭り
玄関を飾り付けて神様を呼び入れる |
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「どれが私でしょうか?」
沖館 泰賢
(エコール辻大阪
フランス・イタリア料理課程5期生)
(フランス校調理22期生)
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