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コラム&レシピ
<Chapter4>
独自のコンセプトで名声を上げた料理人
ポール・エーベルラン Paul Haeberlin(1923〜)
ジャン=ピエール・エーベルラン Jean-Pierre Haeberlin(1926〜)
マルク・エーベルラン Marc Haeberlin(1954〜)
 
 
イル川の川面に美しくレストランが映える  
 1880年頃に、エーベルラン一家はイル川にかかる橋のたもとに『アルブル・ヴェールArbre Vert(緑の木)』という名前のレストランを開きました。それから50年余り、この『アルブル・ヴェール』は地元の人が気軽に食事をする店としてこの地に根をはり続けていました。ポールとジャン=ピエール兄弟は、母と伯母がきりもりするこのレストランの生まれです。ポールはこのレストランで働く母や叔母の傍らで料理を始め、その後『ラ・ペピニエール』(ヴォーヴィレ)、『ラ・ロティスリー・ペリグルディーヌ』(パリ)などで修業。一方ジャン=ピエールは美術学校に学び、建築家を志します。第2次世界大戦中に戦災にあい閉店していた店を『オーベルジュ・ドゥ・リルAuberge de l'Ill 』の名で再開。
   
  1984年ポールシェフ(左)
息子のマーク氏(右)
 
 
2003年マーク氏(中央)
現シェフ(左)
ポールが調理場、ジャン=ピエールがサーヴィスや設備面を担当。1952年にミシュラン1ツ星、57年に2ツ星、67年3ツ星を獲得、現在に至ります。ポールの息子のマルクは『トロワグロ』、『ボキューズ』などで修業。ルノートルの製菓学校にも学び、現在『オーベルジュ・ドゥ・リル』の調理場を預かっています。今でも一家をあげてこのレストランの仕事に従事し、洗練された中にも家族的なもてなしで客をむかえる姿勢は現在(2006年)まで35年以上にわたって守りつづけられています。
 
アラン・デュカス Alain Ducasse(1956〜)
   
 
 ランド地方カステルサラザンの農場に生まれる。1972年、16才の時、レストラン『パヴィヨン・ランデ』で見習いの後、ボルドーの調理師学校に入学。ウジェニー=レ=バンのミシェル・ゲラールの元で2年間修業。冬はガストン・ルノートルのもとで菓子を学ぶ。1977年、ロジェ・ヴェルジェのレストラン『ムーラン・ドゥ・ムジャンMoulin de Mougin』に入り、この店で後に彼の料理のひとつの柱となるプロヴァンス料理と出会います。1978年、ミヨネのアラン・シャペルの店において2年間の仕事の後、シャペルを心の師と仰ぐようになります。1987年モナコの『ロテル・ドゥ・パリL'Hôtel de Paris』の総料理長に就任し、レストラン『ルイ・キャーンズLouis XV』の指揮を任されます。そして、レストラン開店後33ヵ月目、デュカス33才の時、ミシュランの3ツ星に輝くのです。
1999年2月<シャトー・エ・オテル・ドゥ・フランス>の会長に就任。
1999年11月 明日の料理へと導く、独創的な総合プロ教育を提案するアラン・デュカス・フォルマシヨン<ADF>を設立。
2000年6月NYに『アラン・デュカス・アット・ジ・エセックス・ハウス』開店。
2000年9月レストラン『アラン・デュカス』がホテル『プラザ・アテネ』(パリ)に移転。
 
 
ミッシェル・ブラス Michel Bras(1946〜)
   
 
オー・ブラックの丘に立つ
レストラン
 
 
白が基調のモダンな店内
 
   
 
  セバスチャン・ブラス氏
 
  ミッシェル・ブラス氏
 1946年フランス中南部アヴェロン県のガブリヤック村に生まれる。高等中学校卒業後、ライオール村で両親が経営するホテルレストラン『ルー・マズュック』の厨房に入り、シェフである母親について料理の修業を始めます。
1978年、32才の時、両親から店を引き継ぎ、1992年、オーブラック高原の高台へ店を移転。ミシュラン3ツ星獲得。
2002年 北海道洞爺湖畔の『ザ・ウインザーホテル洞爺』に『ミシェル・ブラス トーヤ・ジャポン』を開店。ミシェル・ブラスが店を構えるオーブラックは年の半分は雪に閉ざされる標高1000m以上の高原地帯。生まれ育ったこの土地の自然に魅せられたブラスは、有名シェフに師事することも、高級レストランで修業することもなく、心を込めて料理を作る母親の姿に学びつつ、ただ一人、自然と一体となって、唯一無二の料理の世界を築き上げてきました。
ブラスの料理は、膨大な種類の香草、野草の巧みな用い方や、独自の発想が生み出す、今までにない風味や素材、香り、食感の組み合わせが、衝撃的とも言えるほど強い印象を与えてくれます。また一方で、“アリゴAligot(じゃがいものピュレに特産のチーズを加え、糸を引くような状態に仕上げたもの)”のような郷土料理や家庭料理の「懐かしい味」も、ブラス流に洗練された形でメニューに組み込まれています。
 他人には真似のできない斬新な創作の根源には、ブラスが愛してやまないオーブラックの自然、見渡す限り果てしなく広がる大地と空があります。無駄なもの、過剰なものが一切なく、厳しくピュアな自然に囲まれた場所で、ブラスは自然と対峙し、その息吹を感じ取り、その土地に生きる喜びを見出してきました。そして、そこから生まれる感動を皿の上に表現してきたのです。たとえば、彼の代表作と言われる“ガルグイユGargouillou”、四季折々の香草や野草、野の花、野菜、キノコなどを盛り込んだ一皿には、そういった彼の料理の本質、料理人としての精神のあり様が見事に凝縮されていると言えます。
 
 
ギー・サヴォワ Guy Savoy(1953〜)
 1953年ヌヴェール生れ。少年時代をドフィネ地方のブルゴワン=ジャリューBourgoin-Jallieuで過ごします。その地で彼の母親は『レスプラナドL'Esplanade』と言う小さなレストランを営んでいました。1970年〜3年間トロワグロで見習をし、73年『ラセール』、75年ジュネーブの『リオン・ドール』、76年『ロアジス』、そして77年『バリエール・ド・クリシー』で初めてのシェフの座を得ます。1980年独立、その後評判を呼び手狭になり、現在のトロワイヨンに移転(約100席)、他の3ツ星レストランに先駆けて88年にはセカンド・ブランドとしてビストロを展開、現在4店舗を所有。そして2002年には念願の3ツ星を獲得しています。
 
ベルナール・ロワゾー Bernard Loiseau(1951〜2003)
   
 
今も3ツ星を守りつづけています。  
 
毎年、どこかを工事して
どんどん綺麗になります。
 
 1951年生まれ。68年にトロワグロで見習をスタート。その後パリでシェフを務め、1976年ディジョンから73キロ、パリから258キロのところソーリューの町に店を購入。この店はなんとあの巨匠アレクサンドル・デュメーヌが1932年に始めたレストランでした。この店を買い取ったときに、ロワゾーは「巨匠デュメーヌが1963年に失った3ツ星を復活させる」と断言しました。
   
 
  名作、カエルのパセリソース。
バターや生クリームは使わない
 
  幻の1品、青リンゴのシャーベット
バターや生クリームをあまり使わない素材そのものの風味を引き出すロワゾー・スタイルの料理で見事にその目的を達成。1991年念願の3ツ星を獲得。幸せいっぱいのあの笑顔は忘れることができません。パリにビストロやスーパーなどの惣菜、TV出演と多面的に活躍するものの、オーナーはいつも店に居ることがポリシーのロワゾー。いつ訪れてもまず彼の姿を目にしなかったことがありませんでした。 スペシャリテのカエル料理、的鯛の料理は何度食べても美味しかったものです。2003年2月24日、突然の自害。あれから1年半。未亡人とかつての彼のスタッフ達が店名を変更し、『ル・ルレ ベルナール・ロワゾーLe Relais Bernard Loiseau』として3ツ星を守っています。
 
マルク・ヴェイラ Marc Veyrat(1951〜)
   
 
 フランスとスイスとの国境に近いサヴォイ地方で生まれました。両親はこの地方を原産とするチーズ“ルブロション”を製造していました。彼自身も幼少の頃から羊飼いを手伝っていました。この地方には素晴らしい野草や薬草があります。彼の祖母はその草を見分けることに長けていました。師匠を持たないヴェイラは調理師学校を卒業すると3年間パティスリーで仕事につき、その後すぐにシンプルなオーべルジュを開業します。そこではサヴォワ料理の“ラクレットRaclette”や“ピエラード”を提供していました。このオーべルジュの経営を8年間続けた後、事業拡大のために店を売り、パートナーを見つけ、1984年、アヌシー湖畔に『オーベルジュ・ドゥ・レリダンAuberge de L'Éidan』という店名で新たにレストランを開店します。このレストランは1994年にミシュラン3ツ星を取得、この頃から羊飼いの大きな帽子をかぶり登場するようになってきました。
   
 
  右手前が、苔のムース
2000年にはメジェーブに冬場だけの『ラ・フェルム・ドゥ・モン・ペールLa Ferme de mon Père』をオープン、そして合計6ツ星のオーナーとなります。2007年現在『ラ・フェルム・ドゥ・モン・ペール』は売却しました。
ハーブをたくさん使い、また科学的に分析したエル・ブリ風の料理も提供しています。中でも“苔のムース”は世界が驚いた料理と言えるでしょう。
ある日、食事が終わり、外に出た時に壁に書かれた文章に目がとまりました。「La cuisine du XXIe siècle, c’est un mariage d’amour entre la nature et les cultures universelles sans oublier ses racines. (21世紀の料理、それは自然と全世界にひろがる文化の恋愛結婚。決して生まれ故郷を忘れることなく)」。
 
ミッシェル・トラマ Michel Trama(1947〜)
   
 
  もともと美術関係の勉強をしていましたが、ある事情のためにすぐ仕事をしなければならなくなり、当初はレストランのサーヴィスに従事します。その内、料理を作ることに興味を抱き、パリのムフタール街に小さなフリッツ屋をオープンします。さらにもっと自分らしい料理を作りたい気持ちにとらわれ、アジャンAgenから東に8キロ、海のもの以外の材料は申し分ない人口800人ほどの小さな村ピュミロルにある12世紀にトゥールーズ伯爵の別荘として立てられた建物を購入。レストラン開店までに石を積み直し、ペンキの塗り直しなどの修復工事を全て妻(マリーズ)と二人で行いました。
   
 
  トラマが考え出した
リンゴのクリスタル
古典を勉強したわけでも、誰かに手ほどきを受けたわけでもない独学。青リンゴのクリスタル、チョコレートの涙やバルサミコやフルール・ド・セルを使い出したのは彼です。
 

■主任教授の知識を盗む Vol.1「日本料理の料理観 その1」畑 耕一郎 日本料理主任教授
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