冒頭に書かれている古語は「美食不如美器」が原文である。宣徳、成化、嘉靖、万暦など明代の器は最も美的に優れているといわれ、日本でも関心が高い。朝廷御用窯とは官窯<かんよう>(御器廠<ぎょきしょう>)を意味し、それは景徳鎮窯<けいとくちんよう>を指していることは想像に難しくない。 景徳鎮は元代に「浮梁瓷局<ふりょうしきょく>」という役所が設置され、ここに官窯と民窯が並立し、互いに技術的な刺激を与えつつ、焼き物の一大基地として発展した。明代初期より景徳鎮の官窯では生産と品質には厳しい統制が行われ、皇帝の献上品が造られるようになり、乾隆帝の時代に景徳鎮は、その芸術性の頂点を迎えたといわれる。 「十碗八盤」とは当時の宴席料理を指し、大鉢、大皿料理のことをいうが、随園先生は決まりきった様式に囚われると野暮ったくなるといい、料理に応じて器の大小、形を選択することが大切であると盛り付けの基本を説いている。 なお、『随園食単』には、岩波文庫版(青木正児訳註。初版1980年)もあるので、参考にしていただきたい。 ●古陶磁と料理 北京、上海、四川、広東の有名な中国料理店を取材し、名菜の数々を収録した『中国名菜集錦』(主婦の友社)が1982年に刊行された。伝統的な中国料理に相応しく、古陶磁(多くは倣古品である)に盛り付けられ、「美食不如美器」の言葉を彷彿させるものであった。 特に、宴席など大皿盛りの料理は、器の美しさと相俟って一層華やかになる。また、古陶磁の文様は現在にも通ずるモダンな感覚のものも多く、中国陶磁器の奥深さを感じる。
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