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バルベーラ

 イタリアで広く栽培されている葡萄だが、特に優れたワインは、ピエモンテ地方のアルバ地区やアスティ地区で生まれ、それぞれバルベーラ・ダルバ、バルベーラ・ダスティと呼ばれている。
 豊かな酸味が特徴のワインを生むが、充分に果実が熟さないと酸っぱく、痩せた印象のワインになりやすい。
 ちなみに、リーフロールというウイルス病にかかると、目を見張るほどに美しく紅葉する葡萄で、秋の畑は実に美しい。ただし、紅葉するということは、その段階で光合成の能力がなくなったことを意味するわけで、そういう葡萄からは痩せたワインしか生まれない。かつてのバルベーラ・ダルバの畑は、隅から隅まで、真っ赤に紅葉していたものだが、その後、ウイルス病にかかっていない苗木の植え付けが広まり、この品種の本来の力を見せてくれるようになった。
 1990年代に話題を呼んだ、いわゆる「スーパー・バルベーラ」のほとんどは、そうしたウイルス・フリー樹からのワインである。
 

●バルベーラ・ダルバ
 フォンタナフレッダ社
 ピエモンテ地方バルベーラ・ダルバDOC

フォンタナフレッダ社は、ピエモンテを代表する醸造元のひとつ。イタリアでは珍しく銀行系で、ワインの80%は買いブドウからという「ワイン商」的な会社である。当然、畑の個性は出にくいが、飲みやすくバランスのいいワインづくりには定評がある。このワインも、ミディアムボディで、酸味もきれい、果実味もほどほどという、優しい味わいに仕上げてある。熟成は、大樽で1年間。

 
アリアニコ

 ギリシア原産の古い葡萄。「ギリシア人」という意味の「エレーニコ」が語源となっている。濃いルビー色の、香り高く、濃厚で、酸味の豊かなワインを生む名葡萄だが、いまでは、イタリア・カンパーニャ地方のタウラージ地区などでほそぼそと栽培されるのみとなっている。

 タウラージ自体も、かつては、バローロ・バルバレスコと並ぶ、イタリアワイン三兄弟の長兄とまで讃えられていたのだが、今では、それほどのワインだと思っている人はめったにいない。この葡萄を使ってしっかりとつくったワインは、真の飲み頃に達するまでに数十年の熟成を必要とする。その歳月の長さが、時代に合わなくなっているのかもしれない。年代ものを見つけたら、ぜひとも試してみる価値のあるワインである。
 

●タウラージ ラディーチ
 マストロベラルディーノ社
 カンパーニャ地方タウラージDOCG


ギリシア・ローマ時代から伝わる伝統ブドウの守護者として知られるマストロベラルディーノ社のフラッグシップ・ワイン。タウラージは、カンパーニャで唯一のDOCGで、ラディーチとは「根」つまり「伝統」という意味。アリアニコならではの力強い酸味と、きめ細かいながらもしっかりとしたタンニンは、若いうちには、多少飲みにくく感じる人もいるかもしれない。そういう時には、数時間前にデカンタに移すことをお奨めしたい。熟成後の開花は「素晴らしい」の一言につきる。

 
カルムネール

 19世紀までのボルドーでカベルネ・フランやメルロなどと同等の敬意を受けていたにもかかわらず、その後、すたれてしまった葡萄品種のひとつ。
 長い間、もはや単独では飲めないのではないかと思われていたが、1990年代になって、チリで「メルロ」の名で栽培されている葡萄のかなりの割合が、実はカルムネールであることが判明し、いまでは多くの醸造元が品種名ワインとして販売している。間違いなく、非常に潜在力の高い葡萄のひとつである。
 

●アナケナ
 カルムネール・レセルバ
 A・F・アルコ・イリス社
 セントラル・ヴァレー地域ラペル・ヴァレー


醸造家は、フランス人とチリ人のチーム。アナケナとは、イースター島にある美しい浜辺の名前だという。果実味をたっぷりと抽出して、ほとんどジャムのように甘いタイプの香りに仕上げた、流行タイプの「つくり」。ただし、無理をして抽出しすぎたかな、という香りが多少気になるところではある。もっとも、この価格帯にしては、樽熟成もしっかりと行っており、凝縮感もある。

 
 
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山田 健(やまだ たけし)
1955年生まれ。78年東京大学文学部卒。
某洋酒会社が刊行している「世界のワインカタログ」編集長。
86年に就任して以来、世界中の醸造所めぐりをし、
年間2000種類以上のワインを飲みまくる。
著書に「今日からちょっとワイン通」「バラに守られたワイン畑」(共に草思社)
「現代ワインの挑戦者たち」(新潮社)他がある。
辻調おいしいネット「コラム&レシピ」内の
『今日は何飲む?』というコラムにて、
「今日は何飲む?」野次馬隊リーダーとして参加。
 
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定価3,990円
監修:
辻調理師専門学校&山田 健
講談社刊

11月 下旬発売予定



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