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数年前よりしっかりと外食の中に定着したイタリア料理。昨今は漠然とイタリア料理というだけではなく、さらに細分化されたイタリアの郷土料理が注目を集めています。その個性豊かな郷土料理を作るのに欠かせないのが、各地方で独自の製法で作られるチーズです。
イタリアは南北に細長く、北部を流れるポー川や南北に縦断するアペニン山脈が複雑な地形を生み出しています。地方ごとに風土も大きく異なるため、イタリアには多種多様なチーズが存在します。無名のチーズを含めると、その数は400種類とも600種類とも言われています。今回は、日本でも知名度が高く、また比較的入手しやすいチーズ7種類についてご紹介します。
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(1)チーズを簡単に説明すると?
牛や羊、山羊などの乳には、平均12〜13%の固形成分(脂肪、たんぱく質、他各種ミネラル)がある。その成分を凝乳酵素(レンネット)や乳酸菌を用いて凝固させたものがチーズ。平均して原料乳の1/10を凝縮することになる(つまり、1kgのチーズを製造するのに10の原料乳が必要となる)。イタリアの北部では牛の乳を、南部では羊の乳を原料乳として用いる。
原料乳を凝固する際に分離する液体(ホエー)を再利用して製造されるのがリコッタやバター。日本では、主に牛の乳で製造されたリコッタが流通している。イタリアでは、羊の乳で製造されたリコッタも数多く流通している。ちなみに、パルミジャーノ・レッジャーノを作る際に生じるホエーは豚の飼料としても利用され、パルマ産の生ハム作りに大きく貢献している。
(2)年間消費量
日本人一人当たりの平均2.2kg
フランス人一人当たりの平均25kg
イタリア人一人当たりの平均20kg (イタリア北部では平均30kg!)
(3)D.O.P.
イタリア人の食生活に欠かせないチーズは、その伝統性(呼称、産出地域、原材料、製造方法など)を失わないためにも、国がその製造について保護、規制を行っている。以前は、イタリア独自の規格であるD.O.C.とD.T.を使用していたが、現在はEUの統一規格であるD.O.P.とD.O.C.を使用して、より厳しく品質管理を行っている。現在、D.O.P.に指定されているイタリアチーズは31種類。
(4)イタリアチーズの価格が高いワケ
(1)D.O.P.のチーズなどは、製法が細かく規定されているため、その分コストが高くなる
(2)昨今のユーロ高(1ユーロ≒140円)
(3)製造や輸送などの全コストに対して約30%もの税金がかかる |
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(1)ロビオラ・トレ・ラッティ
産地:ピエモンテ州
原料乳:牛、山羊、羊の混乳
特徴:ロビオラは<小さなチーズ>、トレは<3つ>、ラッティは<ミルク>の意味。つまり、3つのミルクを合わせて作る小さなサイズのチーズのこと。生産者や季節により各原料乳の配合や出来上がりの大きさが異なるため、D.O.P.の指定はなし。やわらかく、濃厚なミルクの風味がある。
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(2)トメッタ・ウブリアカ
産地:ピエモンテ州
原料乳:牛、山羊、羊の混乳
特徴:<酔っ払いのチーズ>といわれる。牛と山羊、羊の混乳で作るチーズをドルチェット種の葡萄の搾りかすの中に漬け込んで作る。ドルチェットワインのアロマが強く香る。昔、オーストリアとの戦争中、兵士に食料を奪われないようにとチーズをワイン樽の中に隠したことから、この種のチーズが発明されたという。D.O.P.の指定はなし。
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(3)タレッジョ
産地:ロンバルディア州
原料乳:牛(殺菌した牛乳を使用)
特徴:イタリアでは数少ないウォッシュタイプのチーズ。表皮は熟成が進むにつれて赤褐色になり、強い香りがする。中身はほのかに甘くマイルドな風味。口当たりもやさしい。現在、流通しているタレッジョの多くが平地にある大型工場で製造されているが、チーズの名称にもなっている<タレッジョ渓谷>で製造される本家の味わいは格別とされる。D.O.P.指定。
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(4)パルミジャーノ・レッジャーノ
産地:エミリア・ロマーニャ州とロンバルディア州の一部地域
原料乳:牛
特徴:800年以上の歴史を持つ、イタリアチーズの王様。D.O.C.指定第1号のチーズであり、法律によって世界で最も厳しく生産管理、保護がされている。パルミジャーノ・レッジャーノを1つ(平均30kg)作るのに、牛乳を500使用。最低1年間の熟成を要する。長期熟成で出来た白い結晶(アミノ酸)が多いほど美味しい。脂肪分が少なく、消化が良いのも特徴の1つ。D.O.P.指定。
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(5)ペコリーノ・トスカーノ
産地:トスカーナ州ほか
原料乳:羊(殺菌した羊乳を使用)
特徴:ペコリーノとは、<羊のチーズ>の総称。他に、ペコリーノ・ロマーノ、ペコリーノ・シチリアーノなどがある。羊の乳は、牛の乳とくらべて脂肪分が高く、風味は濃厚。熟成期間によって、いくつかのタイプに分けることができる。写真のものは、<スタジオナート>と呼ばれる4ヶ月熟成のタイプ。塩味が強く、羊特有の香りがする。D.O.P.指定。
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(6)フィオーレ・サルド
産地:サルデーニャ州
原料乳:羊
特徴:<サルデーニャの花>と呼ばれる。ペコリーノ・トスカーノは牛のレンネットが使用されるが、フィオーレ・サルドは羊のレンネットを使用して作る。塩味が強く、羊特有の香りがする。また、吟醸酒のような甘い香りも感じられる。D.O.P.指定。
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(7)カチョカヴァロ・シラーノ・アッフミカート
産地:カンパーニャ州、モリーゼ州、バジリカータ州、プーリア州、カラーブリア州
原料乳:牛
特徴:通常、チーズをイタリア語でいうと<フォルマッジョ>だが、南部では<カチョ>ともいう。モッツァレラと同じパスタ・フィラータという製法で作られる。加熱するとやわらかく、弾力が増す。ひょうたんの形が一般的だが、地方によっては形状が異なる。<アッフミカート>とは、カチョカヴァッロ・シラーノ・ビアンコを燻製させたものを指す。保存性が高く、また燻製香が加わることでより複雑な風味になる。スライスしたものをグリルやフライにして提供すれば、メインディッシュに相当する一品になる。D.O.P.指定。
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2005年12月10日、辻調グループ校学生センターに於いて開催された『本間るみ子のイタリアチーズ講座』(C.P.A.主催・辻調グループ校コンピトゥム協賛)より内容を抜粋して紹介。当日はC.P.A.会員及びコンピトゥム会員合わせて150名もの参加があり、盛況のうちに終了。
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講師 本間るみ子
チーズの輸入商社『株式会社フェルミエ』代表。イタリアやフランスをはじめ、世界各国のチーズを取り扱い、その美味しさを日本で紹介している。CPAの副会長も務める。
本間氏の詳しいプロフィールはこちらから。
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主催 C.P.A.(チーズプロフェッショナル協会)
チーズの販売、サーヴィスに関するプロフェッショナルを育成する目的の下、2000年に設立。現在、各地でチーズのセミナーやイヴェントを開催。また、毎年C.P.Aによるチーズの資格認定試験も実施。
詳しい活動はこちらから。
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